
渋谷と表参道の中間にあるシアター・イメージフォーラムで、ドキュメンタリー映画『だれも知らない建築のはなし』を観てきました。日曜日の朝イチで行ったのですが、20分前にはすでに長蛇の列。満席でした。
この作品は、2014年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に出品された「Inside Architecture」に追加撮影と編集を加えて映画版になったもの。
監督は石山友美監督。磯崎新アトリエ勤務を経て、映像監督として活動をされるようになった、まだ30代の新進気鋭の監督です。
対して、登場する建築家は一番若いレム・コールハースで70歳。日本の磯崎新さん(83歳)、伊東豊雄さんと安藤忠雄さん(73歳)、ピーター・アイゼンマン(82歳)と、大御所中の大御所ばかり。
この映像を石山さんに依頼した、2014年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館ディレクターだった中西礼仁さんいわく「石山さんに頼んだのは、まず第一に、心臓が強い事、そして、英語ができるとこ、それと、余韻がないこと」。
映画は、最初から最後まで、息をつかせないインタビューの積み重ねの構成で進みます。全員別々にインタビューを受けているのに、対談をしているような編集がとても印象的です。
今や世界一の建築家輩出国とも言われる日本が、磯崎さんの人脈によってどのように世界に羽ばたき(というより、羽ばたく前にどのように挫折したか)、また世界からどのように日本に海外の建築家が呼ばれたか(そして彼らが日本をどうみていたのか)が垣間見られる、とても貴重な映像でした。
お互いを厳しく批評しあうシーンもありながら、プレビューでは、だれ一人文句を言わず、むしろ面白がって観ていたというエピソードがパンフレットに書かれていました。
そう、パンフレットといえば、監督がこの映像作成のために作ったdiagramがとても面白かったです。これを見るだけでも、パンフレットを買う価値があると思いました。
映画の公開に合わせて、青山ブックセンターで監督の対談が連続的に行われています。こちらも行ってみたい!
こちらは予告編です
映画『だれも知らない建築のはなし』
5月23日~シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
(ライター・佐藤友美)