
六本木ミッドタウン内にある21_21 DESIGN SIGHTで開催中の『動きのカガク展』に行ってきました。ライターFukuharaがレポートします。
ホントに面白くてたのしい展覧会。ひとりで行ったのに「おぉ~!」と何度も声が出てしまいました。9月27日までの3ヶ月開催しているので、ぜひ多くの人に経験してもらいたいです。きっと思い出に残る作品と出会えます。
展覧会ディレクターは菱川勢一さん。菱川さんは広告業界で世界的に有名な、カンヌライオンズで三冠を受賞したことがある方。身近なところでいえば、NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」「八重の桜」などのオープニング映像も作ってらっしゃった方です。
菱川さんは『動きのカガク展』について、「イノベイティブデザインの種をみせてあげる」「未来のデザイナーやアーティストである子どもや学生たちに、まるで先輩たちの作品が置いてある図工室に遊びにきたような感覚で観てもらえればと思って企画しました」「つくることは決してブラックボックスになってはいけない。この点は子どもたちだけでなく、展覧会に来る全ての人に伝えたいですね」というようなお話をされています。
そのお話しの通り、展示されている作品は未来を感じさせるものばかり。思わず「おお~!」と声がもれてしまう作品に、必ずひとつは出会えると思います。個人的な差し出がましいアドバイスとしまして、会場の最初の方に今回の展示会のメイキング映像があります。しかしそれは、まずは先に一周回って、すべての作品を自分で体験してから見ることがおススメ。そうすればメイキングを見て、「へ~、なるほど~、そういうプロセスがあったのか」と、もう一度楽しめるかと思います。
今回の展示会で、ぜひぜひ体験していただきたい作品は、ユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司)の『統治の丘』という作品。この作品は、“お立ち台”のようなところに立って体験する作品ですので、ひとりで行く場合はちょっと勇気を出す必要があります。しかし、勇気を出す価値は十分にあります!機械の国の王様になったような気分が味わえるのです。自分の命令通りに、ジジジジジジという音と共に民衆が動く感覚を経験できます。これがものすごく気持ちいい。モノに心が通じたような感じです。王様にも君主にもなったことはありませんが、たぶんナポレオンや豊臣秀吉はこんな気持ちだったのかも……と王様気分を味わえます。
他にも自分から動くことで楽しめる作品がたくさんあります。ちいさいころに雨が降ると、よく傘をクルクルまわして遊んだと思いますが、あの“傘クルクル”をやることで絵が見えてくる作品もあります。傘の絵柄がすべてちがうので、5本くらいあった傘を全部クルクルしてきました。私は平日の午後に行ったので、人数も少なめで楽しみやすかったです。
とにかく他にも、どうやってこんなことができるんだろう……と、動きの仕組みやテクノロジーのすごさに驚く作品が続々登場してきます。何がどうなって動くのか……と、展覧会のタイトル通り、動きのカガクについても好奇心が湧いてきます。
自分から動いて楽しむ作品をたくさん観たあとに、真逆のインパクトを持つ作品が待ち構えています。沼倉真理『レイヤー・オブ・エア』です。透ける素材のカーテンに光を映し、ゆらゆらと動く幻想的な光を観ることができます。「あぁキレイ……」と、女性のお客さんがつぶやいて、足を止めてゆっくり鑑賞されていたのが印象的です。感性のみずみずしさを取り戻せて、浄めてもらえるような気分になる作品です。イメージとしては、何にもすることがない晴れた日曜日の午後に、芝生に寝っころがって、形を変え続ける雲をぼんやり眺めている感じに近いかもしれません。ゆったりとした時間の中で、自然のユニークさや美しさを感じるものに、心うばわれるような感じです。
この展覧会は、お子さんと一緒に行けば、きっと喜んでくれる作品がたくさんあると思います。「美術館は楽しい場所なんだ、アートって面白いんだ」という感性を持つ子供が増えるといいなあと、個人的には思います。もちろん大人の方もぜひ。スゴイ!おもしろい!と言い合えるような友達、恋人、家族と行くと、きっとグッドな思い出になりますよ!
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『動きのカガク展』
会場:21_21 DESIGN SIGHT
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
交通:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅、千代田線「乃木坂」駅より徒歩5分
会期:2015年6月19日(金)─ 9月27日(日)
開催時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日(9月22日は開館)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
*15名以上は各料金から200円割引
*障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料
(ライター/SEIJI FUKUHARA)