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わかりあえなくても全然よくて【さとゆみの今日もコレカラ/第437回】

これまでたくさんの「さとゆみって○○だよね」に出会ってきた。

「信頼はできるけど、信用はできない」と言ったのは弟。さすがである。大雑把で忘れ物が多くて、方向音痴なのに自信満々で道案内する私に振り回されてきた人の言葉感、ある。

私自身が「ああ、たしかにそうかもしれない」と思ったのは、「右翼から左翼まで全部イケる人」という言葉だ。
私が日本の宝だと思っている歳下のライターさんに言われた。
「私、『さとゆみさんてどんな人?』って聞かれるたびに『右翼から左翼までイケる人』って答えているんです」とおっしゃっていた。

これについて考えたことがある。
私は多分「人と人とは、わかりあえなくて全然問題ない」と思っている節がある。というか「わかりあえないのが、普通」と思っている。
そして「わかりあえないまま、リスペクトしたり、愛したりできる」と思っている。

考えが違う人、信条が違う人。いろんな人がいて、その人がなぜそう思うのかを理解したいと思う。
そして、「言っていることは理解できた。でも自分とはだいぶ違うなあ」と感じるとき、一番ワクワクする。
「あなたから見えている世界はそうなのですね!」と、その人の手をとって、ぶんぶんしたくなるような興奮がある。

これが多分、「右翼から左翼までイケる人」と言われる理由な気がする。
だいぶガチに「みんなちがって、みんないい」と思っている。

以前、ライター仲間の塚田智恵美さんとも、この話になったことがある。
「インタビューでどうやって人の話を引き出すか」という議論をしていたとき、「さとゆみさんのインタビューは、世界への信頼感が前提にある」と言われた。
へええ、信頼かあ。それを自覚しながらインタビューしたことがなかったから、面白くて「それって、どんな感じ?」と、いろいろ聞いてしまった。
「さとゆみさんには、『他者の意見や解釈がどうであろうが、自分が安全に生きられる世界は脅かされない』という前提がある。それが、信頼の本質です」と彼女は言う。

ああ、なるほど、そうかもしれない。
あなたと私は違う。違うから面白い。違いを知りたい。私にはわからない世界が見たい。その世界のことも好きになりたい。
そんな感じ。

塚田さんとこの話をしたのは昨年11月のことだけれど、先日送られてきた原稿が、さらに「あああああ、これのことなのか!」と唸った内容だったので、ぜひみなさんにも読んでもらえたら嬉しいなあ。
インタビューの話だけれど、まるっと人生の話だった。

「今日もコレカラ」は毎朝7時に更新して24時間で消えるショートコラムです。今日もこれから良い一日を。

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たった一瞬でも、自分とは違う他者の身体や脳、人生に触れた感覚によって、「想像できること」ではなく「想像できないこと」を受け止めるスペースが広がっていく、すなわち、自分そのものが拡張していくように感じたこと。

そして今夜、クラウドファンディングのリターンだった塚田さんのセミナーがありますよ。昨日ひと足はやくパワポを見せてもらいましたが、私が考えたこともない内容でめっちゃ興奮した。みなさん、お楽しみに!!

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2023年11月1日にスタートした「今日もコレカラ」の1年分がZINEになりました。ご希望の方はこちらからご注文可能です。1月末に重版分が刷り上がる予定なので、刷り上がり次第お送りさせていただきますね。


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