
セパレート記念日【さとゆみの今日もコレカラ/第549回】
14年前のGW中に、息子が爆誕した。
いわゆるカンガルーケアと言われる「産んだら一度、母親の胸に抱かせる」が流行っていた時だったので、20秒くらい、産みたてほやほやの赤子を抱かせてもらった。自分でもびっくりしたのだけれど、ぼろぼろっと、大きな涙が出た。
うわあ、産まれたという感動もあったけれど、妊娠中はトラブル続きだったので、ホッとした気持ちのほうが大きかったかもしれない。
今でもはっきり覚えている。彼を胸に抱いた瞬間、「ああ、子どもと私はセパレートした」と思った。
お腹の中にいたときは、私が死んだら彼も死ぬ。私が病気をしたら彼もダメージを受ける。だから、ずっと緊張していた。
私が一番「母」だった時期は、彼をお腹の中で育てていた時だったと思う。あのときほど責任感を持っていたことはなかった。
でも、一度リリースしたら、彼と私は完全に別人だ。完全にインディペンデントな存在である。本当にホッとした。ここから先は、彼の命を預かるのは私じゃなくてもいい。今、私が死んだとしても、彼はちゃんと生きていく。
それが本当に嬉しかった。彼を外側から見ることができるのが幸せだった。
今は、いろんな人に助けてもらいながら、彼が育っていくのを一番近くで見ている。私もときどき影響を与えていると思うが、それ以上に、いろんな人の影響を受けて大きくなっていくインディペンデント息子氏の成長を、一番近くで感じられることをとても嬉しく思っている。
一番近くといながら、GW中は日本にいない母でごめんちょ(本日はリハックでおなじみ、カリフォルニア大学のバークレー校で野村泰紀教授の物理学の授業を見学させていただいています)
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35歳くらいのとき、この先、何を楽しみに生きていくんだろうって思ったんです。
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