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たんじょうびくん【さとゆみの今日もコレカラ/第 117 回】

中学生の時、生まれて初めて小説というか童話のようなものを書いた。今のところ、最初で最後の創作。

「たんじょうびくん」というタイトルで、たんじょうびくんは、神様から預かった 24 時間分の時間を、毎日せっせとみんなの家まで運ぶ仕事をしている。地球の人たちはみんな、誕生日に一年分の歳をとると思っているけれど、本当は違う。毎日 24 時間ずつ歳をとっているのだ。そして、みんながちゃんと歳を重ねていけるのは、たんじょうびくんが毎日、新聞を届けるように、 24 時間を配達しているからなのです。

たんじょうびくんはとても仕事熱心だったけれど、あるとき、誕生日のその日以外は、時間の積み重ねを意識する人がほとんどいないことに気づきます。

みんな誕生日だけを盛大に祝いすぎて、それ以外の日をないがしろにしている気がして、たんじょうびくんは悲しい気持ちになってしまいます。元気がなくなったたんじょうびくんは、ときどき配達が遅れるようになりますが、地球の人たちがその遅配に気づく様子がないことで、さらに悲しくなってしまいます。僕って、何のためにいるのだろう。

ここまで書いて、中学2年生のときのノートは終わっている。のちに大学生になってから、ちょっと加筆した。

ある日たんじょうびくんが遅れ気味の 24 時間を配達していたら、家の中から子どもたちの声が聞こえてきた。どうやら、一番上のお兄ちゃんの誕生日パーティの準備をしているらしい。

でも肝心のお兄ちゃんは反抗期なのか、「誕生日パーティなんて、子どもっぽいことしなくていい。だいたい、誕生日なんてただの生まれた日じゃないか。別に嬉しくもなんともない」と、母親に文句を言っている。

たんじょうびくんは、自分が考えていることと近いことを言っている男の子が気になって、そーっと家の中をのぞきこむ。

すると、母親がその男の子をそっと抱きしめているところだった。母親は、「誕生日は、本人のためにあるのじゃないのよ。『何年か前の今日この日    に、あなたがこの世に生まれてきてくれてありがとう』って周りの人が感謝を伝えるためにある日なの」と言う。男の子はちょっとびっくりした顔をしている。

「あなたは嬉しくないかもしれないけれど、わたしたちが嬉しいのだから、お祝いさせて」と、母はまた男の子をぎゅっと抱いた。彼の表情は、もうたんじょうびくんのところからは見えなくなっていたけれど、たんじょうびくんはそっと、その家から離れて配達に戻った。そうか。だからみんな、誕生日をお祝いするのか。

大学生のときに加筆した文章も、ここで止まっている。なんだか説教っぽくなったかなあと思ったり、そのあとたんじょうびくんがまた 24 時間を運び続けられるようになるモチベーションは何だろうと考えたりして、完成していない。

ただ、中学2年生のときに私の中に生まれた “たんじょうびくん” の存在があるおかげで、私は、なんとなく誕生日以外の日も 24 時間ずつこつこつと歳をとっている感覚を持ち続けている。

「誕生日なんか嬉しくないよ。歳なんかとりたくない」と言うと、たんじょうびくんが悲しがるだろうなと思って、それを口にしたことも、一度もない。たんじょうびくんをがっかりさせないような日をなるべく多く過ごしたいなと思って生きてきた気がする。

そんなこんなを思い出しながら、さとゆみ、本日、48 歳の誕生日の朝です。

48 年とは、17532 日にあたるらしい。

ライターになってからは 8455 日。

『女の運命は髪で変わる』で著者になってからは 2820 日。

いつまでこの数字が積み重なっていくのかはわからないけれど、毎日 24時間を配達してくれるたんじょうびくんと仲良くしながら、またコツコツ生きていきたいと思います。

48 歳になっても驚くほどぽんこつの私を、いやむしろぽんこつがどんどん際立つ私を、いつも支えてくださるみなさん、叱ってくれるみなさん、かわいがってくださるみなさん。ありがとうございます。

お礼を言いながら、おねだりするのですが、本日『本を出したい』という本の予約が開始しました。

小説ではなく、ビジネス書や実用書を出したいと思ったら、どうすればいいのかについて書いた本です。

もしも、ちょっとでも本作りの裏側、本の書き方などにご興味がありましたら、もしくは本を出すことに興味を持っているお友達の顔が浮かびましたら、ぜひぽちっとの誕プレしていただけたら嬉しいです。

誕生日は年に一度のお祭りじゃないと書きつつ、年に一度のこの日に予約スタートなんて美味しすぎると思った、欲深い私をお許しください。48 歳のさとゆみも、どうぞよろしくお願いします。

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