検索
SHARE

飛んでけ、とぅくとぅん!【さとゆみの今日もコレカラ/第491回】

今年1月10日の出来事です。

以前、書籍をお手伝いさせてもらった著者さんからメッセが届いた。

「いま、地元の調剤薬局にいるんだけれど、さとゆみさんのZINEを読んでいる人が隣にいる!」

と書かれている。

えええええええ、となる。

彼が言うには、娘3人全員がインフルエンザになり、病院からの薬局コースだったのだけど、長女ちゃんが、「隣の人が読んでる本、家にある本と同じだね」と教えてくれたのだという。

この時点で、ZINEをお送り終わっていた人は350人しかいなかった。

全国にたった350冊しかないZINEを持っているふたりが、ある県のある調剤薬局で隣に座っていたのだ。

奇跡すぎる。

「話しかけてほしい!」と、私がメッセすると、「自分も娘3人も全員インフルだったから、遠慮してしまった」と返事がくる。そして、「隣の人、◯◯さんって名前で呼び出されていたよ」と教えてくれる。

ZINEをお送りした350人の中に◯◯さんは一人しかいない。私の知り合いではなかったけれど、きっと、その方だろう。

年始の調剤薬局。きっと何か具合が悪くて病院に行き、薬局にいたはずの方なのだ。そんな方が、あんな分厚いZINEを病院に薬局に持って行き、待ち時間に読んでくださっていたのかと思うと、じーんとする。

そして、同じく具合が悪くて薬局にいた著者さんの長女ちゃんも、それを見つけてパパに教えてくれるなんて、なんて嬉しいんだろう。

その著者さんは、「本屋には売ってない自分だけの本って感じ。外で見かけた時に、すごく感じた」と言ってくれた。

「ドラマなら恋が生まれるやつですね」と返信すると、「そんな恋がしてみたかった」と冗談が返ってくる。

ためしに、「とぅくとぅん!」と打つと、「きゅん!」と返事が戻ってくる。ああ、同世代だ笑

実は、この日の時点で、350冊しか送れていなかったZINEなのだけど、すでに100冊の追加注文が来ていた。

お友だちにもプレゼントしたい、母親にも送ってほしいなど、まさかのメッセージが全国から立て続けに届いていた。

これまでも何冊かの本を書いてきた。多くの人たちが手に取ってくださり、いま、累計17万部になっている。

でも、こんなふうに、自分が毎日書いてきた文章を買ってくれる方がいて、それを直接届けることができる経験は、本当に格別だ。

現在、800冊が手元から旅立っていった。一冊一冊、自分で郵便ポストに入れている。可愛がってもらってね、と思いながら、ポストに入れる。本に羽が生えて、ぱたぱた、誰かの家のポストまで飛んでいくことを考える。

私の分身みたいなこのZINEが、全国のいろんなおうちの本棚にあるとしたら、誰かのバッグの中にあるとしたら……。

想像しただけで、とぅくとぅん!

writer