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早咲き業界、遅咲き業界【今日もコレカラ/第607回】

昔、私の夫が建築家だったころ。

と、書き出して、
1)私の夫は建築家だった過去があるが辞めた
2)建築家の夫がいたが離婚(or死別)した
の2パターンがあるなと思ったが、後者です。

で、その元夫が20代半ばだったときに結婚したのだけれど、「長生きしたいです。長生きさせてください」と言っていたのを思い出す。
「建築家にとって最も大事な才能は、長生きだ」とも言っていた。

建築は総合芸術である。
美術館建設とか、公共建築とか、大規模なプロジェクトは、ある程度の経験を積まないとコンペに勝てないことが多い。
たとえば、黒川紀章は38歳の時に設計した中銀カプセルタワーで若手の騎手として脚光を浴びたけれど、代表作は、60代で設計したクアルランプール国際空港だろうし、亡くなる直前に竣工した国立新美術館だろう。

フランクロイド・ライトのグッゲンハイム美術館は、ロイドが91歳のときに完成しているし、I.M.ペイのルーブル・ピラミッドは72歳。リゾート建築の神ともいわれるジェフェリー・バワのヘリタンス・カンダラマは74歳時の代表作だ。

遅咲きしやすい業界とも言える。
とはいえ、50歳で建築家デビューして世界的に有名になるというのは難しそうだ(回り道の代名詞と言われるバワですら、38歳には建築家になっている)。
蓄積があってこその遅咲きといえそうだ。

一方で、スポーツ選手は、例外もあるけれど、ほとんどの種目においいて20代・30代がピークだろう。
同じように、数学や物理の業界もやはり20代がピークなのだという。
先日、リハックでもおなじみの、カリフォルニア大学バークレー校の野村泰紀さんとおしゃべりしたけれど、「ノーベル賞をもらうような人の最大の発明は、だいたい20代30代の頃の研究なんだよ。俺みたいな年齢になって何かを発明することはほとんどない」と断言していた。

いつかビッグになるはずと思って続けることと
何者かになる機は逃したと思って続けること。もしくは辞めること。

どちらがより苦しいのかな。
そして、物書きはどっちの住人だろう。

これからの人生にピークがあるといいな。

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※「今日もコレカラ」は朝7時に更新です。バックナンバーが読めるようになりました。

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