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失うものがない仕事【今日もコレカラ/第1028回】

京都の家に住んでしばらくした頃、空き家だったお隣の家に内装工事が入った。
借り手は飲食業の方だった。

2月にオープンして、8月に潰れた。

その期間、その店がどんなふうに内装に手をかけ、軒先に木を植え、バイトを募集して、暖簾を出して、宣伝をしてきたかを見てきた。

オープンドアのお店だったから、中にお客様がどれくらいいるか、前を通るだけでわかる。
賑わっている雰囲気はなかった。カウンターではいつも、店長らしき人がパソコンを広げている。資金繰りの計算をしているのだろうか。

通り一本向こうのエリアは行列ができる店が何軒もあるのだけれど、たった一本道を入るだけで、急に人通りが少ない。
桜の季節がきても、新緑の季節が来ても、お店が盛り上がっている空気はなかった。

店の入口に、キャッシュオンリーの貼り紙がでるようになった。夜の早い時間に電気が消えることが増えた。店のエアコンの音がなくなると、しんと静まるような場所だから、ああ早じまいしたのだなとわかる。

ある日、ひと月ぶりに京都に戻ってきたら、暖簾がなくなっていた。
店のホームページを見ると閉店しましたとある。

4ヶ月ほどそのままだったけれど、先日、内装を元に戻す工事が始まったようだ。職人さんたちが出入りしている。
減価償却できなかったであろう、まだ新しい什器が運び出される。

厳しい世界だと思う。
改装をして、人を雇って、宣伝をして、仕入れをして、提供する。
客が入らなくても、食材は必要だし、人件費も必要だ。

このシビアさに比べるとライターは、と思う。
設備はパソコンくらいだし、在庫をもつ必要はないし、人を雇わなくてもいい。人通りの多い場所に店を借りる必要もない。
仕事がないことはあっても、借金をしなきゃいけないようなことはない。

失うものがない仕事。
ふと、そんな言葉が頭に浮かぷ。
われわれ、失うものがない仕事ではないか。

なにをおそるることがあろうか。
鼻の穴を膨らませる新幹線の中にて。
今日は成田で講演。行ってきます。

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どれだけ脚本を書いても誰の役にも立てていないのが辛くて、あのときの気持ちは今でも鮮明に覚えています。

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#佐藤 友美
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ぐみ

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尾崎 ゆき

#徳島県在住 #ライター #人と人をつなぐ記事制作

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