
私たちはライバルじゃない【さとゆみの今日もコレカラ/第511回】
昔、美容師の皆さんにセミナーをしていた頃。セミナー会場に集まってくださる方たちは、近所のライバル店であるケースも少なくなかった。
だけど、その場所でよく話されていたのは「私たちはライバルじゃない」ということ。美容院のライバルは美容院じゃない。
ファッションやネイル、ダイエットにお金をかけようとしている人たちに、「何よりもまず、髪」と思ってもらえるように、業界全体で切磋琢磨しないといけないですよねと、話し合ってきた。
ライターも同じだ。ライター同士はライバルじゃない。この仕事は、友達が仕事を得たからといって、自分の仕事が減るタイプのものではない。椅子取りゲームの職業ではないのだ。
それよりも、「やっぱりプロのライターを入れたら全然違うね」と思ってもらえる仕事を、全員がすることが大事だ。それが、私たちの単価をあげる。
ライター全員がうまくなれば、ライター全員の価値があがる。
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日曜日、鹿児島の天文館図書館さんで、「書いて生きていく」というトークイベントと、実際に書くを学ぶワークショップを2部立てで開催していただいた。
終わったあと「これ、本当に無料でいいんですか?」「ガチモンのワークじゃないですか」という感想をたくさんもらった。
無料でイベントができているのは、それが公共施設だからだ。
図書館の館長の松田さんは、「無料で参加できる図書館のイベントだからこそ、この街に住む人の可能性を広げるイベントをしたい」と言ってらした。
会場には、中学生の女の子が一人で参加してくれていて、率先して質問をしてくれた。部活で書いているのだという。これから本を書いてみたいと思っている70代の方もきてくださった。人見知りだからワークショップに参加するのは怖かった。今も体が震えていると言って、でも会場まで足を運んでくれた人がいた。

私は「彼/彼女らの可能性が少しでも広がるように」と願った松田さんの想いを受け取って、ここで話をする。これ、一年前から「来年ぜひ」と言ってくださっていた仕事なのだ。そんなの、私が持っている全力でむかう以外に選択肢はない。
私たちはライバルじゃない。鹿児島に住む人たちに、「書く」が攻めの武器にも守りの武器にもなることを知ってもらいたかった。自分の夢や、誰かの夢を、「書く」で応援できることを知ってもらえたら嬉しいなあと思って話しました。
会場には、鹿児島のジュンク堂さんのスタッフさんが2人もきてくださり、私の書籍を販売してくださった。
帰り際に伝票を見せてくださったのだけれど、この日私の書籍は6万円以上売れたのだそう。その話を松田さんにすると「よかったー」と、ホッとしている。
それは、私の本が売れてホッとしているわけじゃない。日曜日の繁忙期に2人ものスタッフさんが張り付いてくださった。そのことに感謝しているから、松田さんは「よかった」と言うのであろう。
図書館で書店さんが販売する。
これも地域によってはタブーとされるところもある。図書館と書店はライバルだと言われることだってある。
でも、違う。本を読んでくれる読者の人たちを増やすこと。その入り口は、図書館でも書店でもいいはずなのだ。
NetflixやYouTubeやTikTokで提供されるコンテンツよりも、読書を楽しいと思ってくれる人が一人でも増えたら。
その本読みの一人がきっと、この業界を守っていく一人になる。
図書館の人も、書店の方も、著者も、ライターも。
そしてそこに集まる本を読む人たちも。
みんな。きっと仲間なのだ。
「今日もコレカラ」は、毎朝7時に更新して、24時間で消える文章です。今日もコレカラ、良い一日を。


