小さな臨死体験【今日もコレカラ/第1008回】
東京に戻ってきた。
待ってもらっていた各所の原稿を書き上げたら、まず、『さとこはいつも』を観るべきか、『我々は宇宙人』を観るべきかなんて楽しい予定を立てながら眠りについたら、朝方、持病の発作が出て七転八倒した。
これがあるともう、一日中使い物にならないので、諦めてひたすら眠る。昨日は20時間は寝た。ゼミの勉強会から、急遽の北海道入りだったので疲れが溜まっていたのかも知れない。
時々、忘れた頃に、こうやって体調を崩すのは、良いことだなと思う。
20代、30代のの頃は今よりもっと頻繁に倒れていて、救急車で運ばれることも何度かあった。
当時は「この持病さえなければ、もっと働けるのに」と思っていたのだけれど、最近はこれのおかげで傲慢にならなくてすむのかな、と思うようになってきた。
自分の力でどうしようもないことがあると、ちょっとだけ謙虚になる。
最近、体を温める施術をよく受けている。ヒートマットに全身くるまる施術なのだけれど、腕もマットの中に入れたまま固定されるから、汗をかくと顔のアトピー部分がどうしようもなく、かゆい。
かゆいけど、腕が動かせないから、かけない。そんな時間が15分とか20分とか続く。地味に、つらい。
そして突然気づく。
死ぬ時って、こんなふうなのではないか。
かゆい場所があっても、痛い場所があっても自分の手でさわれない。
それを誰かに伝えることもできない。
全身汗だくでマットから出るといつも、驚く。世界がこの上なく自由に感じられる。
まだ生きてるし動ける、と思う。
やっぱり謙虚な気持ちになる。
小さな小さな臨死体験をしている気持ち。
そのうち本当に死ぬのだから、覚醒している時間を大切なことに使おう。
そんなふうに思う。
今日は、昨日の分も、生きます。
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(訳:お待ちいただいている原稿を書きます)
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2025年8月。50歳、伴侶なし、子なし、転職予定なしで無職になった夏。映画『ジュンについて』を、ひと月で4回観た。
- Writer
- #佐藤 友美