滅びる言葉。ルビの攻防。【今日もコレカラ/第1009回】
某新聞の連載がスタートして1ヶ月経つ。
「新聞社が運営するweb媒体」ではなく、
「紙の新聞そのもの」で書くとき、一番の違いはルビの扱いだなと思う。
新聞媒体では、ルビを振る漢字が決まっている。
「え、この漢字にもルビを振るの?」というくらい、ルビ必須の漢字が多い。
何も考えずに納品すると、ルビだらけになって戻ってくる。
とくにwebの場合、ルビは( )で入ってくる。
文章のリズムが崩れるし、見た目にも読みにくい。だから、ルビが入ると分かったら、違う言葉に変換するのだけれど、どうしても言い換えができない言葉もある。
たとえば過去に泣く泣くルビをふった言葉には
・キャラ萌(も)え
・惹(ひ)かれる
・鬱(うつ)になる
などがある。いろいろ台無しだなと思ったけれど、ルールなので仕方ない。
今回、紙の新聞でいいなと思ったのは、ルビが( )ではなく、漢字の横にそのまま振られることだ。
この方法だと、見た目にも読みにくくないし、リズムも崩れない。
そういえば10年前、『女の運命は髪で変わる』という本を書いたとき、どこまでルビを振るかで編集さんと議論したことがある。
漢字なんて読めなくても文章は読み進められる。本当に知りたかったら辞書を引くなりググるなりする。こんな簡単な漢字にルビをふるなんて読者をバカにしてるように見えると、だいぶ私の(よっぽどじゃない限りルビをふらない)主張を通してもらった。
先日、作詞家・松本隆さんの『松本隆 言葉の教室』を読んでいたら、松田聖子さんの「ガラスの林檎」を作詞したとき、子どもたちには「林檎」という漢字が難しいからカタカナにしてほしいと言われたというエピソードが出てきた。
そのとき松本さんは「聖子が歌えば、日本中の小学生が林檎って漢字を読めるようになるからこのままでいこう」と突っぱねたそうだ。
そして、そういう滅びていく言葉を助けたい気持ちがあって歌詞に使っていると話している。
そして、語彙がたくさんあれば、自然と考え方が出てくる、とも。
滅びる言葉、ルビの攻防。
語彙の話は、また明日。
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もう30年以上、大河ドラマの仕事に携わっているんですよ。あまり知られていませんが、ドラマや映画の小道具などには、印刷会社が深く関わっていることが多いです。
- Writer
- #佐藤 友美