最初の1秒から最後の1秒まで【今日もコレカラ/第1023回】
京都のコインランドリーで書いている。
東京の家の近くにはなくて、京都にはあるもの。
コインランドリー、銭湯、ロピア。
京都にくるたびに、
「このコインランドリーが家の近くにあったらいいのになあ」
「この銭湯が……(以下略)」
「このロピアが……(以下同)」
と思う。
それに加えて先日ひとつ、お気に入りが増えた。
京都シネマ。
昔のユーロスペースのような、単館系の映画館で、シアターは3つ。
ポップコーンもコーラも売っていない、自販機だけが設置されている。
先日、ライターの先輩、堀香織さんと一緒に映画を観に行ったのだけれど、どちらか1人が50歳以上だとペア割2800円が適用される。
館内のポスターや予告編を見ているだけで、どれもこれも喉から手が出る。
『百姓笑う』も見たいし、『Blue Heron』も見たいし、『真実と反逆』と『京都ALS患者嘱託殺人事件』も『さよなら、私のロシア』も見たい。
終映日をチェックして、ちょっとため息。
老後は、こんな映画館の近くに住んで、3日に1回くらい通いたい。いや老後じゃなくてもいいか。今でもいい。会員になると毎回の映画料金が1100円になるらしい。
この日、観たのは、西川美和監督の『わたしの知らない子どもたち』。
この数年観た映画の中で、圧倒的だった。昨夜も夢にみた。
脚本が素晴らしい。
役者が素晴らしい。
映像が素晴らしい。
音と光が素晴らしい。
最初の1秒から最後の1秒まで、すみずみまで心を尽くされた作品だと思った。
辛い物語でもあるのだけれど、これほどまでに手をかけられた作品を見ると、人は癒されるものなのだと知る。
ひどく落ち込むことがあった次の日で、重い気持ちで観に行ったのだけれど、(映画は重いのだが)ささくれている心は慰撫されたように思う。
英題「Children Untold」が、ひしひしと迫ってくる。語られない、語れないことのほうにも、真実がある。
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- Writer
- #佐藤 友美
- Back Number
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