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プリンセスごっこ【さとゆみの今日もコレカラ/第 181 回】

ある有名な脚本家さんがまだ駆け出しだった頃、「自分が向田邦子さんだったらどうするだろう」と考えて行動することにしたと聞いたことがある。それを続けてしばらく経ったら、大きな仕事がどんどん決まるようになったそうだ。誰かを(とくに自分にとって身近ではない人を)イメージしてふるまう行為は、やってみるとよくわかるのだけれど、三重の意味でトレーニングになると思う。

まず、対象者の思考を想像する必要がある。こんな時、あの人ならどんなふうに考えるのか。どうふるまうのか。自分がアウトプットするためには、その人がその行動に至った思考について時間を巻き戻して想像する必要がある。

次に、アウトプットしている最中。ある程度の「らしさ」でふるまおうとすると、どこか嘘っぽくなる瞬間に気づく。自分にとって解像度が低くて行動できない場面があるのだ。観察が足りていないのだろう。そういうときはもっとよく観察する。そしてもう一度、その行動の元になった思考を想像しなおす。    徐々に解像度があがる。

最後に。実際にその人のようになった時の対処法が体得できる。前述の脚本家さんは、向田邦子さんのような売れっ子になった時、何を選び何を捨てるのか、迷わなかっただろう。毎日そのトレーニングをしてきたようなものだからだ。

私もその時々で、あの人だったらどうするかなと考えてふるまうことがある。若い頃は久本雅美さん、途中は一瞬シェリーさん、ここ最近は YOU さんだったら、どんな感じの受け答えをするだろうか、と考えてきた。

もう少し漠としたイメージで、タクシーに乗っている間じゅうどこぞのお嬢様みたいにしてみようとか、このレストランでは日本語を勉強中の留学生みたいにふるまってみようという日もある。

私はこれをプリンセスごっこと呼んでいるのだけれど、人のふりをするのは、非常にクリエイティブだし視界が広がる。子どものおままごともあれ多分、ぐいと視界が広がっているんだろうな。

【この記事をおすすめ】

もっと周りの人たちといろいろなものを見て、たくさん話して、それぞれに見えている世界を共有し合いたい。正しいイメージを共有するためではなく、お互いの世界を広げるために。

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