
外れた占い。裸の王様。【さとゆみの今日もコレカラ/第 188 回】
GW 中に息子の誕生日があった。ケーキはいらない、肉が食べたいというので、松坂と神戸でしゃぶっとお祝いをした。
その日、私は 10 センチのヒールを履いていたのだけれど、並べばヒールを履いた私よりも大きい。つい数ヶ月前に身長を抜かされたと思ったばかりなのに、早い。Google から、「あなたの子どもは 13 歳になった。アカウントの管理を子どもに任せるかどうか相談すべし」というメールが届く。Google 的には、ここがひとつの「一人前」ラインなのか。
13 年前、この子を妊娠したときに、少し不思議な出来事があった。
当時私は、ファッション誌のライターをしていた。そのころ、今でいう「しいたけ.」さんくらいの人気の占い師の方がいて、私が執筆していた雑誌で連載を持っていた。編集部のメンバーは入れ替わり立ち替わり、その占い師の予約をとり、その結果を披露しあっていた。
あるとき、「ゆみちゃんも占ってもらいなよ。本当によくあたるから」と、編集さんが予約を取ってくれた。以来、4、5回みてもらったろうか。
あるとき、「子どもがほしいのですが、授かりますか?」と聞いたら「今年は無理だけど、来年はできる。年末から少しずつ仕事をセーブするといい」 と言われた。それが 2010 年の年始のことだ。
夏にもう一度行ったとき、もう一度「もう一回みてほしいのですが、子どもはできますか?」と聞いたら、再び「前回も言ったけれど、今年は無理。今年は妊娠したとしても流産する。でも来年は必ずできるから準備しなさい」と言われた。
やはり来年なのね、と思いながらその占い師のもとを辞し、そのまま加圧トレーニングにむかった。ところが、その日のトレーニングはどうにも調子が悪い。体がだるくて熱っぽい。いつもならトレーニング後に 30 分ほどランニングマシンで走るのだけれど、ランニングをパスして家に帰った。
家に帰って、シャワーをあびたとき「あれ? 今月生理きたっけ?」となっ た。2週間ほど前に出血したからそれが生理だと思っていたけれど、あれはなんだか変な感じだった。1日で終わったし、おかしいなと思ったことを思い出した。
ざわっとしてその日のうちに産婦人科を受診したら、あっさり「妊娠ですね」と言われた。とすればあれは着床出血だったか。帰る道すがら再び加圧トレーニングに寄って、「妊娠したみたいなので、しばらく休会させてください」と伝えた。受付のお姉さんはだいぶ驚いていたけれど「それはおめでとうございます!」と喜んでくれた。最初に妊娠を告げた相手が受付のお姉さんだったのは変な感じだったけれど、笑顔にほっとした。
家に帰ってきて思ったのは「今朝、占いをしてもらったときには、この子はすでにお腹の中にいたんだよな」ということだった。今年妊娠したら流産するとも言っていたなと思い出した。
それから9か月ほどたって、息子はアプガー満点で生まれてきた。出産のときに私の尾てい骨がぽきっと音を立てて逝くというアクシデントはあったものの、無事にこの地球にリリースされてきた。
それ以来、その占いには行っていない。
もともと占いは、当たるも八卦当たらぬも八卦のエンタメだと思っているから、占いが外れて信用できなくなったからというわけではない。
あのときすでに子どもがお腹の中にいて、無事に出産したことを占い師に知れると、面目を潰してしまうだろうと思ったからだ。
「先生の占いが外れて元気な子どもが生まれました」と言ったらどんな顔をされるのか。それを見るのは忍びないという気持ちが大きかった。恥をかかせたくない。
こういうのって、占いに限らない気がする。
自信満々で何かを予言する、もしくは指導する人に対して、それがまったく見当違いだったと知ったあとも、やはり指摘をするのは忍びない。恥をかかせたくないと思ってしまう。
逆もまたしかりだろう。私が何か断言したこと対して、「いや、それ違いますよ」と言うのは、だいぶ勇気がいるだろう。年齢的にも、そういう指摘をしてくれる人は、どんどん減ってきている。それでなくても私は自信満々に間違いを断言しがちな人間だ。かくして裸の王様がいっちょあがる。怖い。想像するに、怖い。
なんてことを、息子としゃぶしゃぶ食べながら思い出していた、13 歳の誕生日である。
みんな、私が変なこと言ってたら、教えてね。
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