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「タイパ」という言葉がピンとこない【さとゆみの今日もコレカラ/第 241 回】

コスパはともかく、タイパという言葉がどうもしっくりこない。

その理由を考えていたのだが、もしかしれこれ、タイパを「時間対効果」と訳すか「時間対満足度」と訳すかの違いかなと思い当たった。

タイムパフォーマンスの「パフォーマンス」部分を「効果」の意味でとらえると、時間に対していかに大きな成果を上げたかのニュアンスを強く感じる。「タイパが良い」=「効率があがる」とするならば、たしかにある種の作業に対し

てタイパを意識することが重要だとなる。

一方、私がタイムパフォーマンスにおいて求めるものは、つまり自分の人生の時間を費やして手に入れたいと思っているものは、ほとんどの場合「効果」ではなく「満足」である。この場合、効率がよければよいほど、満足度が減る。

たとえば、1冊の書籍を書くときに、1時間あたり 2500 字書けるとする。これはだいぶ書くスピードが速い。40 時間あれば1冊の本になる。

でも、本を書くことの面白さや醍醐味は、長考にある。一度書いた文章を疑    い、時にはゼロベースにして書き直し、もう一度資料を読み、最初に書いたときには気づかなかった何かに気づく。そのときのエクスタシーがあるから、時間をかけて何度も考え書き直す。校了してしまうとがっかりする。ああ、楽しい時間が終わってしまったと思う。

もうちょっと別の例で話す。以前美容業界のビッグデータを分析して提言をする本を書いたことがある。その時に、「カラーやパーマの施術時間は1秒でも短くなると嬉しいけれど、ヘッドスパやマッサージの時間は1秒でも長いと嬉しい」という顧客からのデータがあがってきた。

そりゃそうだろう。カラーやパーマの待ち時間は楽しいものではない。でもヘッドスパのようなマッサージは、その時間自体が心地よい。心地よい時間なのだから、長い方が嬉しい。

面白い連ドラは終わってほしくないと思う。

推しのコンサートでアンコールがあると嬉しい。

大好きな作家の本はなるべくゆっくり味わって読みたい。

つまり、自分にとって心地よいものであれば、タイムはどれだけ増えてもいい。

ここまで書いて、ああそうか。「タイパ、タイパ」いうときは、やりたくないことをやっているから、少しでも短い時間で効率よく済ませようとしているのかと理解した。

「コスト」に関しては、基本的にはお金は減らない方が良いと考える人が多い。でも、「タイム」は使いたい対象と使いたくない対象がある。だから、コスパは理解しやすくてもタイパはいまいちよくわからなかったわけだ。

なんかすっきり。

【この記事をおすすめ】

エンタメを“摂取” するのではなく “味わっていた” 頃を思い出して。

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