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たとえば猿爆(サルバク)のような【さとゆみの今日もコレカラ/第542回】

長年連れ添った夫婦や、付き合いの長くなったカップルには、「二人にしか通用しない言葉」が生まれていく。

たとえば、二人目の夫との間では「猿爆(サルバク)してた」という言葉が流通していたのだけれど、これは「後頭部を大猿に殴られたので、気絶するように眠った」の意味で、元ネタは村上春樹さんである。

こういう言葉は、その言葉を話す相手がいなくなると、消滅する。言語の消滅だから国家の消滅といってもいい。世界の消滅のほうが近いか。

私が、男と別れたら1ヶ月くらいは喪に服していいと考えているのは、このせいだ。世界が消滅するのだから、一年くらい喪中でもよい(まあ、最近は「やっと別れることができました!」という報告もよく聞くのでアレだけど)。

何回かご一緒させていただいた仕事相手とも、この「共通言語」が生まれる。あの撮影のあの感じとか、あの文章のリードみたいに、とか。あの媒体の雰囲気で、とか。テツコとタモリをリンゴとクダモノして、のような雰囲気で話ができる。

一緒に仕事をすればするほど、微に入ったコミュニケーションができるようになる。これがとっても楽しい。私がCORECOLORでの取材や原稿のやりとりが大好きなのは、ここに由来している。

CORECOLORのライターさんは全員さとゆみゼミの卒業生なので、最低でも20時間以上、文章について議論しあってきた仲間だ。「通じる」仲間がこんなにいて、そしてそれぞれが個性を発揮した文章を読めるのって、本当に幸せ。言葉の国で遊んでいるような気持ちである。

昨日は、あるインタビューの後、その原稿をどうするかについてカメラマンさんとライターさんと話をした。もう何度も一緒に仕事をしてきているから、言葉の定義を揃えることなく本題に入ることができる。気づいたら3時間半も話し込んでいた。

楽しすぎたー。楽しすぎて幸せすぎて、昨日はそのあと一人で梯子酒。9杯も飲んでしまいました。

かっこう。

【この記事をおすすめ】

あの頃の私は、細胞レベルで元彼に染まっていた。相手を忘れようと努力した結果、一緒に過ごした年分の日常の記憶も消えてしまっていたのだ。もったいない。走馬灯の撮れ高、減りすぎだ。

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