
「選ぶ」をすると、「選ばれる」がわかる【今日もコレカラ/第805回】
年末、大学で講義をさせてもらったのだが、そのリアクションペーパーを昨日もらった。
約150人分。文字数にして5万2000文字。全部に目を通して面白いことに気づいた。
くっきりと記憶に残る感想がいくつかあって、それらには共通点があるということだ。
とくに記憶に残った感想は、私の講義自体について書かれた感想ではなく、私の講義で思い出したこと、自分の体験について詳しく書かれているものだった。
私の講義なのだから、その内容は私が一番よく知っている。それについての感想はもちろん、めちゃくちゃ嬉しいしありがたい。ただ、おおむね想定の範囲内である。
一方、講義を聞いて連想したという個別のエピソードや、個別の思考などは、私には知り得ない。そういう感想は面白いし、記憶に残る。「前に、こんなことを言っていた学生さんがいてね……」と、いつか別の講義で話していそうだ。
ところで、こんなふうに、150人分の感想文を一気に読むような経験を一度でもしてみたら、それを見る側の目のつけどころがちょっぴりわかるだろうなあと、思う。
私がエッセイ講座で最初に、全員分のエッセイをブラインドで読んでもらうのも、その理由だ。
知らない人のエッセイ(名前が隠されたエッセイ)を読むのは、どれほど気力がいることか。どれほど大変で苦痛なことか。それを知れたら、書くときの心もちが変わる。
これ、なんでもそうだなと思う。
企画を通す側を経験したら、通る企画が見えるようになる。
大量のESを読んだら、面接官の気持ちが見えるようになる。
お行儀の良いスムースな文章が、実は一番「弱い」。そんなことを知れたら、きっと、その後書くものが、がらっと変わるんだろうなあ。
(大学生に言っているようで、私はいま、自分に向かっても言っています)
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