
卒業式のプレゼント【さとゆみの今日もコレカラ/第 145 回】
卒業式シーズンである。
我が家の息子も明日、小学校の卒業式だ。3ヶ月間毎週一緒に学んできたゼミの卒業式も、2クラス、この土日で卒業式だ。
卒業式といえば、今でも思い出す言葉がある。
私たちが通った高校に、タケちゃんと呼ばれる校長がいた。体育祭の挨拶では「シマレ、ガンバレ!」。文化祭でも「シマレ、ガンバレ!」。
話が短いことで、生徒に超絶愛されていたタケちゃんが、一度だけ私たちにちょっと長めの話をしてくれたことがある。卒業式の校長式辞だった。そこでタケちゃんはこんなことを言った。
これまでの時代は、個人がどれだけノウハウ(know how)を持っているかが大事な時代でした。でも、これからは、「何を知っているか」で勝負する時代でありません。「誰を知っているか」。つまり、ノウフー(know who)の時代になります。仲間を大切に。
約 30 年前。Windows95 が発売になった年のことである。ノウハウの価値が暴落している今、先見の明とはこのことだと思う。
「ノウハウではなく、ノウフーが大事」
タケちゃんのこの言葉を、私は折りに触れて思い出し、考えてきた。
・自分でできることは少なくてもいい。頼れる人をたくさん持ちなさい。そう解釈したときもある。
・そのためには、自分も頼られる人でなくてはならない。GIVE ができる人になりなさいという意味だったかな? と考えた時期もあった。
・ノウハウは古くなる。だからいつも、好奇心を持って人と触れなさい、人を知りなさいという意味?
・いやはや、人ができることには凸凹がある。その凸凹を組み合わせて、何かをしようということだったか。
・いやもっとストレートに、「情報よりも人脈」と伝えたかったのかもしれない。
・まさか、タケちゃん、生成 AI の時代を予見してた?
そんなことを、かれこれ 30 年も考え続けている。
多分、タケちゃんの話には続きがあったはずなのだけれど、私はその続きを忘れてしまって「これからは、know who が大事」という言葉だけが、私の心に残っている。多分、この先、答え合わせできることもないだろう。
30 年も考え続けられる、強度のある問いをプレゼントしてくれたタケちゃんに感謝している。
答えを教えてくれるのではなく、問いを与えてくれる。
師とは、そういう人だと思う。
【この記事をおすすめ】
だれが何を言っても尊重され、だれもどの意見も否定しない。そこには正解も間違いもない。


