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さとゆみ夏の自由研究【さとゆみの今日もコレカラ/第278回】

(※注)今日のコレカラは、読む前と読む後では世の中の見え方、音の聞こえ方が変わってしまうかもしれないので、閲覧注意です。

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セミの話をする。

セミの鳴き声が激しい。とくにこの時期は、朝の5時くらいから鳴き散らかしている。

「セミって、本当は土の中にいた方が快適だったんじゃないかな。地上に出たときはもう死が近いわけでしょ?あの鳴き声は、地上は苦しいようっていう、断末魔の叫びに聞こえる」

私がそう言うと、非常によくおモテになるパイセンは、こう言った。

「でも、セミって地上に出てから交尾して卵産むんだよね。鳴いてるのはオスだけだよ。良い声で鳴いて、交尾する相手を探してるの」

む。

そうなのか。知らんかった。

じゃあ、あの鳴き声は断末魔というよりむしろ、めくるめくピンク色の世界を過ごすためのアレなのか。なんだよ、浮かれポンチの鳴き声かよ。

調べると、セミのオスとメスは、ほぼ同数生まれる。そして、メスのセミは生涯で一度しか交尾できないらしい。一方、オスは複数回交尾できる。

ん?ということは?

なんと、オスのセミのうち約37パーセントは、交尾相手を見つけられないまま、死んでいくそうだ。

37パーセントというのは、かなりの確率だ。それほど多くのオスが童貞のまま一生を終えるのだとしたら、あの鳴き声もピンク色には聞こえなくなる。必死のパッチの求婚ソングではないか。

ところで、オスのセミの童貞のまま死亡率が高いのは、どういう原理なのか気になる。一人のプレイボーイが多数のガールと酒池肉林しつくした結果なのか、それとも人生2度くらいするボーイがある程度の割合でいるのか。

さらに調べると、「セミの羽化と交尾についての確率論的考察」という論文に出会った。そこにはこんなことが書かれていた。

「セミの羽化と交尾についての確率論的考察」より広島大学工学研究院応用数学教室税所康正

……お手上げです。誰か解説してくれませんか。

いずれにしても、セミの婚活はだいぶ厳しいことがわかった。

セミが地中で何年過ごしているのかは、いまだによくわかっていないそうだ。ただ、セミの中には周期ゼミと呼ばれるセミがいて、ある地域の周期ゼミたちは、ぴったり17年、もしくは13年で同時に一斉に羽化する。その周期から素数ゼミとも呼ばれるそうだ。

団塊ジュニアは人数多いよね、とかそういうレベルの話ではない。17年に一度だけひと学年1000クラスある学校みたいなものだ。見渡す限り同級生。間違って16年とか18年とかで産まれてしまうおっちょこちょいはいないのだろうか。目が覚めたら、同級生ゼロ。自分一人なんて、ぞっとする。

セミは死ぬ時、ひっくり返って死ぬ。でも、背中側に目があるから、空を見ながら逝けるわけではないらしい。目の前いっぱいに地面。セミによっては土ではなくその地面がアスファルトのこともあるだろう。

10年かそこら土の中にいて、地上に出て数日たったらメスを求めて鳴き続け、37%はその願い聞き入れられず、木に捕まる体力が尽きて落ちて、死ぬ。眼前には視界いっぱいの地面。

セミの鳴き声が昨日とは違って聞こえてくる。

※この文章は毎朝7時に更新され24時間で消滅します。今日もコレカラよい一日を。

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