
勝負は書く前に(だいたい)決まっている【さとゆみの今日もコレカラ/第298回】
昨日はNHKカルチャーセンターさんでのエッセイ講座、3回コースの初回だった。関西近県はもちろんのこと、沖縄から、福岡から、鹿児島から、岡山から……たった2時間半の講義のために、新幹線やら飛行機やらに乗って集まってくださった16人。
もちろん、その2時間半も実り多い時間であるように話すのだけれど、勝負は2時間半のその「後」にある。
エッセイは、文章がうまければ書けるというものではない(と、私も最近知った)。世の中をどんなふうに見るのか。何を面白がるのか。その観察から何を考えるのか。その「ものの見方」のほうが問われる競技だと思う。
だから、いままさに文章を書いている時間も重要だけれど、それ以上に書いていない時間をどう過ごすかのほうが如実な差になる。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎわ少しあかりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。
この文章だって、これを書く前に「書き出しは四季でいこう」の選球眼があり、「春はやっぱり朝よねえ」の選択があり、「美しいあけぼのは、どんなあけぼのか」という「あけぼのっぷりの観察」があり、最後にその表現がある。
いっぱい生きよう。
勝負は、書く前にだいたい決まっているのだ。
✳︎「今日もコレカラ」は毎朝7時に更新し、24時間で消滅します。今日もこれから良い一日を。
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