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深呼吸の地【今日もコレカラ/第1003回】

昨日のお昼頃には都立大学のシェアラウンジで「さとこはいつも」の上映館を調べていたのだけれど、わけあって日付が変わる直前には青函トンネルを越えていたので、人生、一寸先は函館だ。
朝ごはんは朝市で済ませようかなどと考えている。
このあと、さらに北上する予定。

いま読んでいる(というか聴いている)本、『横浜駅SF』は、自己増殖を続け本州の99%を覆いつくした「横浜駅」の話だ。
その本の中でJR北日本は、横浜駅の侵略から独立を保っている人類最後の反抗拠点の一つとして描かれている。青函トンネルは迫り来る横浜駅を押し戻す最重要防衛点になっているので、トンネルを渡るときは、ちょっと感慨深いものがあった。

ところで、「さとゆみさんって、沖縄出身ですか?」と、ピンポイントでよく言われる。
この手の質問で、沖縄以外の地名を言われたことがない。私の何が沖縄を連想させるのだろう。地黒なところかな。

正解は北海道だ。
そして自己認識的には、私は、非常に北海道人っぽいと思っている。

たとえば結婚式を1万円の会費制で行うような合理主義。
たとえばよそ者に対する垣根が異常に低い、みんなそもそもよそ者感。
たとえば車で30分は「ちょっとそこまで」に入る視野の広さと解像度の低さ。
そして、北海道人の30分は絶対に30分ではないというおおらかさというか大雑把さ。
私、北海道人以外のなにものでもないな、と思う。

北海道には「わや」という言葉がある。
この言葉は大泉洋さんが2024年のコナン映画『100万ドルの五稜星』で使ったアドリブとして話題になったけれど、「めちゃくちゃだ」とか「どうしようもない」みたいな意味がある。

たとえば、「吹雪で車が埋まっちゃって、もう”わや”だわ」とか「鹿が飛び出してきて、バンパーが”わや”さ」などと使ったりする。
ちなみに後者は実際に15年ほど前、父の口からリアルに聞いた。

沖縄の「なんくるないさー(誠を尽くしていれば自然とどうにかなるよ)」がおだやかな気候に裏打ちされた言葉だとしたら、
北海道の「わやだね(どうにもなんないねー)」は、厳しい気候に裏打ちされた「どうにもならないほうが普通だよね」の象徴のような気がする。

ええとつまり、「いつかうまくいく」、ではなくて、「わりとうまくいかないことが多いけれど、そんなもんだしまあ死にはしないし」みたいな感じ?

一見ネガティブに思えるんだけど、一周回ってポジティブともいえる。
北海道に戻ってくると、呼吸が深くできるようになるのは、そういう肌感覚を思い出すからだろうか。
いろいろわやでも死ぬほどじゃあない。


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何年か前に、楠木建さんの『絶対悲観主義』を書店で見かけたとき、その本の帯の文言に吹いた。タイトルと同じくらいの級数の文字ででかでかと、「心配するな、きっとうまくいかないから」と書かれていた。
最高です。座右の銘にしたい。
失敗なんて、だいたい、する。

Writer
#佐藤 友美

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Writer

尾崎 ゆき

#徳島県在住 #ライター #人と人をつなぐ記事制作

ぐみ

GUMI

#エンタメ #本 #感想家 #取材 #企画 #編集

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