
言っていることと、やっていること【さとゆみの今日もコレカラ/第 125 回】
人は、言っていることとやっていることが、だいぶ違う。
ある食器メーカーが、新しいデザインのお皿を開発するために、ユーザーを集めてヒアリングをした。
「もしも新しくお皿を買うとしたら、どんなお皿がいいか」とディスカッションしてもらったら、「白い角皿がいい。家は丸皿ばかりだから」などと意見が出る。「たしかに角皿、持ってない。ひとつあると重宝しそう」などと盛り上がった。
ひとしきり話をしてもらったあと、「今日はありがとうございました。謝礼に加えて、当社の商品の中から好きなものをお持ち帰りくださっていいですよ」と主催者が伝えたところ、参加者はずらっと並ぶ皿の中から、みな、丸い皿を選んで帰っていったという話がある。
マーケティングリサーチに関する笑い話として有名なエピソードだけれど、かように人は「言っていることと、やっていること」がだいぶ違う。
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先日 30 代前半の女性たちと話をする機会があった。彼女たちは「子育て罰」について語っていた。子どもを生んだ先輩たちが口をそろえて「子育て大変だよ」「今のうちにやりたいことをやっておきな」と言うそうだ。
あんなにしんどそうな先輩ばかり見ていたら、子どもをつくろうなんて気持ちにならないよね。そうそう、罰ゲームみたい、と彼女たちは言う。
ちょっと気になったので、「その先輩たちは何歳くらいなの? 子どもは何人くらいいる人たち?」と聞くと、大抵は 40 歳前後で2、3人生んだ人の話だという。
今の時代、結婚している女性がのぞまない妊娠を強要され無理矢理子ど もを生まされることはそう多くないだろうと思う。2人め、3人めをつくろうと思ったのは、そこに「もうひとり生みたい」という母親の意志があったからではないかと感じる。
今度買うなら角皿がいいよね、と言いながら、丸皿を持って帰る。
子育て大変だよ、覚悟しておいたほうがいいと言いながら、2人目3人目を育てている。
言っていることよりも、やっていることのほうが、その人の本心を投影していることが多い。
もしも言っていることとやっていることが違うと感じたら、何がその人に、その言葉を言わせているのかを考えるのだけど、これはまた、次の話。
【この記事をおすすめ】
テーマなど表面的なものをマネしても良い結果にはならない。だからこそ私は、売れている本の構成もフォーマットもバラバラにして、装飾されているものを剥ぎ取って、完成前の編集者の頭の中を探るようにしています。


