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推ししか勝たん、もうひとつの理由【さとゆみの今日もコレカラ/第 126 回】

以前、「好きぴの話をしておくれ」という文章を書いた。

人の惚気話を聞くのが大好物だ。うちの子可愛い可愛いたまらんの親バカ話を聞くのも大好き。仕事でうまいこといった話や、仲間に感謝された話を聞くのなんて至福のごと。

こういう話は、SNS ではめったに聞けない。はいはい自慢ですかとなってしまうから、みんな書かない。だから、私は人と会う。直接会って話すときは、みんな存分に惚気てくれるから。

幸せな話は美味しい。栄養満点だから元気になる。みんなの幸せをぱくぱく食べて生きている。だからみんな、遠慮はいらぬ。好きぴの話をしておくれ。

『今日もコレカラ』2023.11.24 より

これを書いたとき、X(Twitter)のタイムラインに皆の「好きぴ」の話がずらっと並んだのだけれど、ことごとく「推し」の話だった。やはり、いま、SNS で安心して惚気ることができるのは、推しの話だけなのだと再確認する。

子どもやパートナーが可愛い大好きたまらんの話は、SNS では滅多にお目にかかれない。それを知り合いに言ったら「まあ、SNS で子どもが可愛い、彼氏大好きって書くの、リスクしかないですからね」とクールに返された。おっしゃる通り。

✳︎

先日、シャープさんと『スマホ片手に、しんどい夜に。』の発刊について話をした。これは先にネットに掲載されていた漫画時評で、ネットでとくに反響の高かった回を掲載しているのだけれど、「推しと呪い」についての話が多かったそうだ。

推しについては、みんな存分に語ってよい空気がある。推ししか勝たんのは、推しが尊いことに加え、推しの話だけは人前で安心して披露できるからだろう。推しを推しても、誰も攻撃してこない。子どもや彼氏を推すのとはリスクが違う。やはり、推ししか勝たん。

推し以外で語りやすいテーマが「呪い」であったことも面白い。辛い話、苦しい話は発言しやすい。苦しい話とはすなわち、自分にかけられた呪いについての話である。

とくに SNS では、惚気話より、呪われた話のほうが書きやすい。幸せアピールよりも不幸アピールのほうが、不特定多数の前では安全側だからだ。かくて、子育ての「罰」のほうだけが声高く拡散される。

子育て大変だよ、覚悟しておいたほうがいいと後輩たちに言いながら、2人め3人めを育てている。

もしも言っていることとやっていることが違うと感じたら、何がその人に、その言葉を言わせているのかを考えるのだけど、これはまた、次の話。

『今日もコレカラ』2024.3.4 より

昨日のコレカラの次の話でした。

【この記事をおすすめ】

ツイートでは、自分が言いたいことよりも、相手が言ってほしい言葉を優先して書くようにしているんです。

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