
人間関係ぴよっ【さとゆみの今日もコレカラ/第 167 回】
会社員時代、何が一番しんどかったかって、「継続することが前提の人間関係」だった。
理不尽だなと思っても、こっちのやり方のほうがうまくいくんじゃないかと思っても、この人とは1ヶ月後も2ヶ月後も、多分1年後も付き合いが続く。今この瞬間に言いたいことを言ってこの先気まずくなるくらいなら、今日は口を出さないほうがいい。そう思うことが多かった。
新人時代は、毎月もらう固定給に見合う仕事ができるはずない。この固定給は、私が一人前になったときに初めて回収される。会社から投資を受けているのだと思うと、ある程度の期間は働かなくては。そのためには数年先を見越した人間関係を優先せねばと思っていた(今ならば、この考え方はいろいろ間違っているとわかる)。
私はさまざまな側面で会社員に向いていなかったけれど、何より、ものごとの判断の基準が「今」ではなくて、「未来の自分を守るため」になりやすいことが、自分の身体性に合ってなかった。
フリーランスになって一番嬉しかったのは、今この瞬間の仕事に全力でいられることだ。プロジェクト単位で受注する仕事の良さは、いつでもクビを切ってもらえることである。
あるかないかわからない数年後の人間関係よりも、プロジェクトの成果をベストにするために、侃侃諤諤議論し合うことを優先できる。報酬も1本ごとに提示されるから、きっちりこの仕事 “のみ” で報酬分の働きをしなくてはと思う。意見の違いを俎板の上にのせることがまったく怖くなくなった。なぜならそのために私に報酬が支払われているからだ。
そして不思議なことに、そうやって「1回限りだから」と思って全力でぶつかった人ほど、その後の人間関係は長く続いた。そうか。言いたいことを言わないことが、良好な人間関係をつくるとは限らないのだという当たり前のことに、フリーランスになって初めて気づいた。
1回ごとにクビを切ってもらえること。
報酬がそのつど決められること。
評価される場所と全くされない場所があること。
毎回発注されるとは限らないこと。
収入が不安定であること。
二度と会わない人と仕事をする割合が多いこと。
フリーランスのデメリットと言われることが、私にとっては全部メリットに思えた。自分に合っていたのだと思う。
今、会社員に戻ったとして、私はうまく立ち回れるだろうか。長く続く人間関係においても、プロジェクトの成功を念頭に、風通しのよいフラットな会話ができるだろうか。
歴史に if はないのだけれど、4月になると毎年考えてしまうことだったりする。向き不向きって、あるよね。
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いきなりで恐縮ですが、想像してください。
あなたは新人ライターです。昨日、殻から出てきたばかりのヒヨコライター。取材の経験はほとんどない。


