
お褒めの言葉のそのあとに【さとゆみの今日もコレカラ/第 190 回】
たいていへらへら気楽に世の中を渡っているのだけれど、ときどき自分でも頑固だなと思うところがあって、たとえばお世辞を言いたくない。
ほとんどの場合、お世辞は相手のためではなく自分のために言うものである。だから、思ってもいない世辞を言うことは、相手を見下す行為だと思っている。
が、この解釈はたぶん、多くの人とずれている。
ほとんどの人は優しい気持ちからお世辞を言うのだと気づいたのは大人になってからで、ああだからお世辞を鵜呑みにしていた私との会話がずれるわけだと知った(遅い)。
お世辞を言わないまでも、良いほうの側面だけを伝えてくれる人は多い。先日上梓した『本を出したい』も、「よくぞあそこまで書きましたね」とか「これは非常に役に立つ本だ思う」などと感想を言っていただける。それは本心で言ってくださっていると思う。
なのだけど、それはやはり良いほうの側面にフォーカスして伝えてくれているのだろう。面と向かって感想を求められたら、私だってまずは良いことを伝える。
なので、編集者や著者の方に本を褒めてもらったときは、「本の中で、気になることはありましたか?」「ここは違うだろうとか、自分は別の意見だということはありましたか?」としつこく食い下がっている。ここで聞ける話が、面白い。
「ほとんどなかったのだけれど……」と言いながら、みなさん、気になったポイントを教えてくれる。ぐわあああ、なるほどと勉強になる。
たとえばこんまりさんの片づけの本を作られたタカトモさん(高橋朋宏さん・「ブックオリティ」主宰)は、「はじめに」の型について触れた部分について話をしてくださった。
「あの型で書くと、たしかに誰でも合格ラインの『はじめに』を書けると思います。でも、実際の本づくりでは毎回それぞれその本に合った新しい『はじめに』の型を発明するつもりで作っている」とおっしゃる。たしかに、タカトモさんの担当されたベストセラー本はすべて、「はじめに」が非常に独特なのである。
『ヨガ友』や『1年で「億り人」になる』などのベストセラーで知られる、サンマーク出版の編集者三宅さんは「本を出すためには再現性が重要だと書かれていましたよね。もちろん大事だと思うし、いろんな人が再現性・再現性というのですけれど、僕自身は再現性以上に著者のキャラクターの強さやオリジナリティを重視しているなと思いました」と話してくださった。
実際に三宅さんが編集担当をされた『1年で「億り人」になる』の著者の戸塚真由子さんにお会いしてお話を聞かせていただいたのだけれど、うわあああなるほど、オリジナリティとはこういうことかとなった(私の note でお二人の話を昨日公開したのでぜひ読んでほしい。私は心底ぶったまげた)。
こういう話は、食い下がって聞かないと教えてもらえない。そして、初手のお褒めの言葉よりも、何倍も何十倍も勉強になる。
自分の精一杯を投げ込んだアウトプットには、いやそうじゃないよ、こういう考えもあるよねという強いカウンターが飛んでくる。こういうリアクションをもらえることが、本を出す醍醐味のひとつでもある。
【この記事をおすすめ】
実際に絵を描く仕事をしてみると、自分なりに少しは、プロとして必要な「画力の基準」が見えてきたような気がします。


