
50 代のライターデビュー【さとゆみの今日もコレカラ/第 264 回】
昨日、50 代にしてライターデビューし、インタビュー取材デビューした人がいる。しゅうしゅうこと、上田修司さんだ。
しゅうしゅうさんとは、あるライター塾の期をまたいだ懇親会で出会った。初めて出会ったときは、「ライター塾に行ってわかったんですけれど、僕、文章を書きたいわけじゃないってことがわかりました」と言っていた。
ところが、それから 10 年近く経って、彼はなぜか私のライティングゼミにやってきた。何か心境の変化があったのだと思う。ベーシックの講座だけではなく、その後のアドバンスの講座まで受講していた。
私のライティングゼミでは、毎回違う課題を出す。しゅうしゅうさんの課題は完成度のムラがずいぶん大きかったのだけれど、中に1本、忘れられない文章があった。海外に住む友人の女性をインタビューした原稿で、その国の軍隊の訓練を体験する話だった。この文章に非常に引き込まれた。届けたい物語があるとき特有の熱を帯びた文章だった。この方は、書きたいことしか書けない、とても誠実な人なのだな、と感じた。
ゼミを卒業するとき、「僕はやっぱり、ライターになりたいという気持ちにはならないんです。だけど、自分の周りには、いろんなことに取り組んでいる素敵な仲間がいて、それを聞いて書ける人になれたらと思います」と言っていた。
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昨日、さとゆみゼミメンバー19 人で能登に行った。
CORECOLOR では、輪島市在住の二角(ふたかど)さんが、「能登のいま」という連載をしている。
「見るだけでもいい、一人でも多くの人に能登にきてほしい。今の能登を知ってほしい」という二角さんからのメッセージを受け取り、東京から、大阪から、福岡から、名古屋から、富山から……みなが朝の能登空港に集まった。能登に住む方のご協力をいただきながら取材のアポをとらせてもらい、それぞれが自分が話を聞きたい人がいる場所に散らばり、話を聞かせてもらった。
参加メンバーは、医療関係の原稿を書いている人、介護、教育、宿泊施設、ペット業界、酒造業界の原稿を書いている人など、様々だ。普段はライター業をしていない人の参加も多い。能登に関わりたいと思っていたけれど、なかなか接点を作れなかった。この機会に能登に行きたいと参加してくれた。 4台の車+タクシーを利用して四方に分かれる。夜にまた金沢で合流することを決めて、別行動をした。
この取材旅行の事前準備をしていたとき、当日日帰りでできるボランティアはほとんどないことがわかった。ボランティア経験を書こうとしていたメンバーたちは、二角さんにアテンドをしてもらって、別の方向での取材や見学をすることにした。
ところが。
そのメンバーの中で一人、しゅうしゅうさんから先週急にメッセが届いた。「さ とゆみさん、僕、ひとあし早く能登に行ってボランティアをしてきたんです。で、こんな文章を書いたんですけれど、CORECOLOR で使えそうでしょうか?」
というのである。
それが昨日アップしたボランティア体験記だ。なんとなく北陸の方に旅行に行っているのかな? という投稿は見ていたけれど、ボランティアをしているとは知らなかった。まして、その数日後に 5000 字を超える原稿が送られてくるとは思わなかった。
昨日再び能登入りしたしゅうしゅうさんは、「今日が僕のライターデビューの日になりました。そして今日は僕の取材デビューの日にもなりました」と言っていた。
それまで「僕はライターではないから」と、ずっと CORECOLOR を裏側から 支えてくれていたしゅうしゅうさんが、私に相談するより前に原稿を書き上げてしまったことにびっくりしたし、「いつか自分が取材したい人がいると思ったときに、書ける人でありたい」と受講してくれたしゅうしゅうさんが、その日が今日だと思って取材してくれたことも嬉しかった。そして、伝えたいことがあるときに伝えられる場所を、たくさんのメンバーと一緒に育ててこれたこともよかったと思った。
私はいつも、世の中には文章が多すぎると思っている。誰かに文章を読んでもらうという行為は、誰かの命の時間をもらうということでもある。
だからSNS やnote のような自分日記は別として、メディアで書くときは、「どうしても書きたいことがあるときだけ」書けばいいと思っている。
「今の読者は 2000 字までしか読めない」
「PV 稼ぐなら何度もページ送りしたほうがいい」
「インタビュー原稿なんて誰も読まないから」
そんなふうに言われることもある。CORECOLOR は時代に逆行しているとも言われる(私は最も早いことをしていると思っているのだけど)。
だけどAI ですら文章を書く時代に、私たち人間がわざわざ書くならば、自分が知りたいこと書きたいこと伝えたいこと伝わってほしいことみんなと語り合いたいことだけを書いたらいいんじゃないかと思う。
それぞれ、いろんな思いを持って能登に集まったメンバーたちが、これから
「能登のいま」をリレー連載していきます。よろしければ、ときどき覗きにきてくれたら嬉しいです。
そして、そのリレー連載の皮切りは、しゅうしゅうさんのボランティア体験記。
今、公的機関が募集しているボランティアに参加する場合は、早朝に金沢を出発するバスに乗るか、もしくは早朝に自分の車で能登に入っているかしなくてはならない。東京から行く場合は前泊になるだろうといったことや、どんなボランティア内容なのか、重機などを扱えなくても大丈夫なのか、免許はいるのか、どれくらい体力が必要なのか、50 代でもいける?……など、実際に参加した人だからこそわかるディティールが示されている。
これまで「ボランティアをしたいけれど、何ができるかわからない」と考えていた人たちに読んでもらえたら嬉しいです。
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【この記事をおすすめ】
ボランティアというと力仕事を思い起こすかも知れません。しかしボランティアで扱う家財は重いものは多くなく、小さなものの仕分け、片付けが多く、力がないとできないということはありません。


