
無事のたより【さとゆみの今日もコレカラ/第 340 回】
モルドバに行っていた友人から「マリアと再会しました」というメッセージが届いた。ロシアに住むマリアの家族も、ウクライナに住むマリアの親戚も、無事だという。
マリアのことは、『ママはキミと一緒にオトナになる』に書いた。ロシアとウクライナの戦争が始まってすぐのこと。六本木のモルドバワインを飲ませてくれるショップで、私と友人はマリアに出会った。
彼女はロシア人で、両親と弟はロシアにいるけれど、従姉妹たちは空爆の激しいウクライナに住んでいて、先日から連絡が取れないと言っていた。マリアのように、家族や親戚がそれぞれロシアとウクライナに住んでいる人は多いのだと教えてもらった。
そのころ日本では、ロシア料理店やロシア人に対する投石や嫌がらせが起こっていた。マリアは高校生の娘が学校でいじめられないかを心配していたのだけれど、娘さんは「戦争が始まってからも、みんなの態度が変わることはない」と話してくれたらしい。高校生の間で築かれている人間関係を想像し、私たちもそうであれたらいいのに、と思った。
友人のメッセージには、マリアと一緒に撮影した写真が添えられていた。右奥の風景はウクライナです、と書かれている。こんなにも、近いのかと思う。
ウクライナから逃げてきた家族たちは、モルドバとの国境でSIMカードを渡される。女と子供はそれを持ってモルドバに入国する。男たちはそれを持って国に戻る。戦うためだ。SIMカードが文字通り家族を繋ぐという話もそのとき聞いた。
遠かったロシアとウクライナの話が、マリアの存在で一気に現実のこととして認識できるようになった。
続けて私は、先月終わりからパレスチナに入国しているはずの人の顔を思い浮かべた。無事だろうか。
世界中のどこにでも、顔を知り話をした人がいるということは、その国をひとつの塊としてではなく、一人ひとりの個人が住む場所だと感じることにつながる。どの国の友人もどの国に住む人たちも傷ついてほしくない。
みな死にたもう事勿れ。
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【この記事をおすすめ】
「You are our hope(あなたたちは、私たちの希望なんだ)」と言ってくれた人がいたんです。


