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コンプレックス、ひょっとしたら【さとゆみの今日もコレカラ/第361回】

コンプレックス。コンプレックス。コンプレックス。

子どもの頃、自分の声が嫌いすぎた。クラスの女の子たちみたいに、可愛い声が出せない。なんで私の声はこんなに低くてしゃがれているのだろう。合唱コンクルーは罰ゲームだった。アルトの音域、全然出ない。テナーだ。むしろテナーだ。「すみません、声が出ません。歌えません」と、何度言ったことか。

爪も。25歳まで、私は爪切りで手の爪を切ったことがなかった。噛んじゃうのだ。少しでものびると、カリカリカリカリ、噛んでしまう。やめなさいと言われても言われても気づいたら無意識に噛んでしまう。ギザギザで不恰好な爪。好きな人の前ではいつも手を隠していた。

髪の毛。クセが強いから、朝起きたらいつも大変なことになっていた。さらさらのストレートヘアに憧れていた。どうして私の髪はこんなに曲がっているんだろう。神様どうして、私はこんな髪なのですか? 少女漫画のように、彼氏が私の髪の毛をなでてくれる日なんて絶対一生こないのだ。

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ある日、クラスの男の子が、「お前の声、ハスキーでいいよなあ。中村あゆみみたい」と言って、CDを貸してくれた。しゃがれたおばあちゃんみたいな声、じゃなくて、ハスキーな声。ハスキー、ハスキー。これは、ハスキーっていうのか!! 私の声、アリなのか!!

ライターになった頃、マニキュアだけだったネイルの世界に、スカルプという技術が爆誕した。スカルプで爪を長くする。取材でそれを体験したとき、ネイリストさんが「きれいな指をしていますね」と言ってくれた。スカルプをつけている間は物理的に爪が噛めない。そうか、ずっとネイルをしていればいいんだ。そう思った。その日から20年以上、ネイルサロンに通い続けている。

これもやっぱりライターになりたてのころ。カリスマ美容師と言われる人に、「ゆみさん、ほんといい髪質だよね。パーマをかけなくても動きが出る。超、いいクセ」と言われた。え、この髪が? とびっくりした。超いいクセ、超いいクセ、超いいクセ。その日は一日中、にやにやして過ごした。

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声と指先と髪の毛と。

もともとコンプレックスだったところって、「これさえなければ」と思っているパーツだから、そこが人並みになることによる嬉しさが半端ない。ちょっと嬉しいどころじゃない。いやっほーーーーうと声を出して走り出したくなるくらい嬉しい。うっかり褒められたりしたものなら、めちゃくちゃ手をかけるようになる。

声と指先と髪の毛と。

私の3大コンプレックスだったパーツは、いま、自分の3大好きなところになっているなと気づいた。そしていま私は、声と指先に感情を込めて話す仕事をし、髪について語る仕事をしている。

ひょっとしたら。コンプレックスこそ、のびしろ爆発、可能性無限大なのかもしれない。

そういうこと、みなさんはないですか?

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コンプレックスは、コンプレックスという痛みをもって「本当の自分の魅力に気づけ、気づけ」とメッセージを伝える役割をしている、と主人公は思いを表出する。

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