
ダイブ!【今日もコレカラ/第587回】
与論島にいる。
鹿児島から東京に帰るフライトチケットを取り間違えた。取り直しすると5万円くらいするとわかったので、だったらもう一泊しようと思って与論にきた。
島について宿にチェックインしたとき、島のおすすめを聞いたら、「海岸に自分のSAPがあるから、そこに行くといい」と言われる。ほら、そこにいるおじさんが今から行くから着いていきなと言われ、わけもわからず原付の背中を電動チャリで追いかけた。エンジン音に負けないように、水着持ってませんけれどー! と大きな声で言ったら、まあ、大丈夫じゃない? とやはり大きな声で返事される。
聞けばおじさんは、作家だと言う。島の人ではなく、与論に1ヶ月滞在しているのだとか。午前中は宿で書いて、午後からは海で遊ぶんだ。真っ黒な顔に真っ白な歯で、にかっと笑う。
浜に着いたら彼と顔馴染みの島の人がいて、トシさんと呼ばれていた。おお、後期高齢者、今日もきたか。そして私の顔を見て、なに? おっさんにナンパされたの? と冗談を飛ばす。
トシさんはSAPと靴を貸してくれた。水着はないよ。落ちなければ濡れないよと言うので、普段着のまま、SAPに乗る。
昨日の今頃は、まさか与論でSAPしてるなんて思ってもいなかった。海は透明度が半端ない。おじさんは昨日は海亀と一時間泳いだと言う。
ここがニモポイント、とトシさんが教えてくれる。そこまで一度もコケることなく、服を濡らさずにいたけれど、ここまで来て海に入らないなんてもったいない。シュノーケルを借りて海にドボンと飛び込んだ。南国特有のカラフルな魚がたくさんいる。1時間くらい、漕いだり泳いだりした。
浜に上がって本でも読もうとしたら、おじさんが缶チューハイを買ってきてくれた。トシさんが、もずく食うか? というのでもずくとクラッカーを肴に乾杯する。
昨日もきたという東京の新婚さんがやってきて、トシさんに缶チューハイを差し入れていた。それも開けて、酒盛りする。気づけば、泳いでびしょ濡れになった服も全部乾いている。その新婚さんとは、東京の家が近所だということがわかった。明日一緒に百合が浜に渡りましょうと話して別れる。
宿に戻ったら若い女の子がカフェでコーヒーを飲んでいた。東京の大病院で働いていたのだけれど、島の僻地医療に興味があって半年こちらにきているのだという。カルチャーショックがすごいですよ、と笑う彼女は、東京に彼氏を残してきているらしい。
夜は夜とて、鹿児島で知り合ったゆみさんの同級生サンが、店を予約したからと連絡をくれた。
店に行けばゆみさんと同じバスケットチームだったというメンズが3人いて、その息子さんもいて、私は初対面の人たちと噂の与論献奉をする。彼らの知り合いにゆみさんが2人いて、私の知り合いのゆみさんは、ゆみツーと呼ばれているそうだ。だから、さとゆみさんは、ゆみスリーねと言われて、私は与論でゆみスリーという名前をもらった。
1時間経ったら店主が店じまいをしようとする。お店を追い立てられるように出され、訳もわからぬまま、店主について次の店へと移動する。私たちだけじゃない。東京から来たという女の子2人、カップル2人も、全員店を移動させられている。ついた先は、与論の歌を聴かせてくれるライブ酒場だった。ギターと三線とハーモニカ。夫婦なのかな、美しい声が交差する。そこにいた人たちと汗だくになるまで、歌い、踊り、星降る夜道をみんなで歩いて帰ってきた。
昨日の今頃は、こんな1日になるとは思ってもいなかったと思いながら、ホステルの布団にもぐりこむ。2段ベッドのほうからは、静かな寝息が聞こえてくる。
かずきさん、たいしさん、としさん、ななみちゃんに、こうじくん。てつやさんに、はな、ひろのり、つくも、みぽりん、あゆが2人、けいじに、ゆき、そしてやすさん。
1日にこんなに知り合いが増える日になるとも思ってなかった。
思い切ってダイブしてよかった。
弾丸26時間滞在。後半戦は、今日このあと。
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