
恋する質問泥棒【今日もコレカラ/第590回】
20代から30代にかけて、一人の人の話を6時間ぶっ通しで聞くというプレイにハマっていた。
仲良くなりたいと思った仕事相手を一人ずつ誘って、18時に飲み屋に入り、終電がなくなるギリギリの24時まで、ひたすらに話を聞き続けるのだ。
お題は、「好きなものを10個」。
編集さん、カメラマンさん、美容師さん、デザイナーさん。いろんな人を誘って話を聞き続けた。
ひとつ目の好きなものを教えてもらったら、それについて30分くらい質問を続ける。なぜ好きなの? いつから好きなの? どういうシチュエーションで味わうのがベストなの?
やってみるとわかるけれど、ひとつの話題について30分聞き続けるのは、スーパー難しいし、ミラクル面白い。
たとえば、相手の答えが「マクドナルドのチーズバーガー」だったとする。はじまりはマクドナルドだけれど、30分後には世界平和についての考えを聞いていたりする。
これを10個分繰り返すと、ちょっと信じられないくらい、相手のことを知ることができる。これまでに「家族にも恋人にも話したことない話をした」と言われたことが30回くらいある。
仕事相手だけではなく、プライベートでもやった。たいてい驚くほど仲良くなれる。婚活している人に、このプレイをおすすめしたことがあるけれど、3人からプロポーズされていた。
知ることは愛することだ。そして愛されることでもある。
過去に一人だけ、10個のうち3つしか答えを聞けなかった人がいる。
質問を重ねているはずなのに、いつのまにか、質問の主導権をとられていて、いつの間にか、私がいろいろ尋ねられていた。あれ? と思ったら、私の方が質問に答えている。
会話泥棒ならぬ、質問泥棒である。
悔しいので、4個目からの続きをしようと誘ったときも、2つしか聞き出せず、そのときもやはり、いつの間にか私のほうが脱がされていた。
気づけば、恋に落ちていた。
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