
「役に立つ」ってそんなにだいじかな【今日もコレカラ/第665回】
まだ考え中の状態でボールを放ります。
ここ数年「役に立つ」という言葉をとっても疑っている。
役に立つ道具、役に立つアプリ、には違和感がない。
でも、役に立つ仕事、役に立つ人間になるとだいぶ懐疑的になっていく。
「役に立つ人間になりなさい」にいたっては、ちょっと眉がひそまる。
この議論はつきつめると、「では、役に立たない人間は存在価値がないのか」に至る。
「老いるのが怖い」や「人に迷惑をかけるようになったらどうしよう」も、多分、この延長線上にあると思う。
こんなことを考えるときにいつも思い出す人がいて、それは『こんな夜更けにバナナかよ』を書いた渡辺一史さんと、「注文を間違える料理店」を考案した小国士朗さんだ。
渡辺さんについてはまたいつか書きたい。
小国さんについては今日、書きたい。
小国さんとはコロナ禍に友人の紹介で出会った。そして、ご縁があり、しばらくたってからロングインタビューをさせていただいた。
インタビューはいつもそのつど興奮して帰ってくるのだけれど、この時は帰りの電車の中でリアルに鼻血が出たくらいに興奮し、これは危ない脳の中に溜めておくと動脈瘤になると思ったくらいで、テープ起こしの仕上がりを待たずに、その夜一気に初稿を書き上げた。
(ああ、今はもう、5話のうち1話しか無料で読めないんだな。だけど1話に全霊を注いだので、その文章を置いておきます)強く思い入れのある原稿のひとつだ。
「自分自身にやりたいことはない」
「良いアイデアなら音が鳴る」
「名刺に肩書きはいらない」
そんな小国さんのパンチのきいたメッセージとは別に、「あったかい世の中になるといいよね」とか「やさしい世界になるといいよね」みたいな言葉にならないatmosphereみたいなものに、なんかこう下っ腹のあたりが熱くなって、体がぽかぽかしてきて、こんな人がいる日本に住めて嬉しいなあと思ったのだ。
小国さんの活動は本当に多岐にわたる。SNSを見ていても、いったい何人いるのだろうと思うくらいだ。
なかでも、小国さんの代名詞のひとつが「注文を間違える料理店」である。
「注文をまちがえる料理店」とは、小国さんの言葉でいうと「認知症の状態にある人が、ホールスタッフをつとめるイベント型のレストラン」だ。
2017年に東京六本木でオープンしたときは、世界150カ国から取材が殺到したという。
この動画、すごいよね。
そして、その「注文をまちがえる料理店」が、なんと、8年経ってカムバックしてくるという。しかも、全国一斉開催だという。
全国一斉開催???!!!!!
いくつものプロジェクトに立ち上げたり、関わったり、取材をしたことがあるから、わかる。
初年度の勢いを、ずっと保つことは難しい。勢いよりも何よりも、情熱を保つことが難しい。
花火をぶち上げることよりも、種火を回し広めていくことのほうがずっと難しい。
より大きく、しかも大きいことが意義になるような形で、カムバックさせることは本当に「有り難い」ことだ。
小国さん、すごすぎるよ。
いま、クラウドファンディングが進行中です。
この文章を読むだけでも、本当に元気になるから、今日はもう小国さんの文章を、どうぞぱくぱく食べてくださいませ。さらにクラファンを支援している方々のメッセージを見るともう、本当に力をもらえます。
注文をまちがえる料理店が実現したい、全国みんなで「ま、いっかの日」
そして冒頭に戻るのだけれど「役に立つ」についても、いっぱい考えることができます。
「役に立つ」とか「効率よく」とか「間違いなく」なんて、機械に任せておけばいいんじゃないか。
私たち人間のいっちゃん素敵なところって、役に立つとかじゃないよねって、そんな気持ちにもなるのです。
きれいごとでしょうか。きれいごとかもしれない。まだ考えが足りてないかもしれない。
きれいごとを楽しくできる大人になりたいと思ったのも、小国さんに会えたからです。
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「僕自身は、やりたいことがあるわけじゃないんです。人の話を聞いているうちに、これは楽しそう! 面白いことを思いついた、と思ったらやってみる。やり始めたら、それが自分ごとになっていく」
【小国士朗1】注文をまちがえる料理店、おすそわけしマスク…「三方良し」を仕掛け続ける元NHKディレクター
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