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酔っていい人。ダメな人【今日もコレカラ/第812回】

先日のこと。
ライター先輩でもあり、日本酒サロン粋suiのママでもある堀香織さんが、まあ世にも可愛い酔っ払い方をしていた。テレビで見るコントのような酔い方だなあとみんなで爆笑していたのだけれど。

ふと思ったことがあって、質問してみた。

「堀さん、酔っ払って記憶を飛ばすの、怖くないですか?」

というのも、私は、酔いすぎるのがすごく怖い。どんなに仲の良い友人と飲んでいるときも、酔っぱらった次の日の朝は、「私、失礼なことしなかった?」「暴言吐かなかった?」と心配になるからだ。この心配が嫌で、絶対に記憶はとばさないと気を張っているところがある。

だいたい、この歳になったら、何か取り返しのつかないくらいの失敗するのは、酔った時くらいだと思う。
なので、こんなにあっけらかんと「きゃー、また記憶がないー」と笑える堀さんが、すっごいなと思ったのだ。記憶がないこと、怖くない?

すると堀さんは(盛大に酔っぱらいながら)
「んーーーー。怖くなーい」
とおっしゃった。

「どうして?」と聞くと、堀さんは多分、あんまり動いていなさそうな頭で「んーっと、んーっと… …」と考えてからこう言った。
「多分、私、人の悪口とか言わないからだと思うー。酔っ払ってやらかしちゃうことはあるけれど、言っちゃダメなこととか言わないからだと思うー」
そして、そのままバタン、とテーブルに突っ伏した。

いやあ、この回答に、わたし心から感動した。近年5本の指に入るくらい感動した。

私たちがみんなみんな堀さんのことが大好きなのは、この、スケルトンな、裏のない、陰口をたたいたりしないところに安心しきっているからなのだ。
いつも人の良い側面を肯定しようとする、その心根みたいなところが好きなのだ。

一方、記憶を飛ばすのが怖い私は、その点、100パーセント自分を信頼できていない。
いじわるだったり、いじめっこだったりはしないけれど、黒い感情がゼロかというときっとそうではないような気がするから、鍵を全開にして記憶を飛ばすような酔い方ができないのだ。

先日は堀さんの酔っぱらいぶりは本当に可愛くて、「まじで、あんな可愛い酔っ払いになりたい」とみんなに言われていたのだが、あれはほんと、悟りの境地の姿なのだと思っていま
す。
乾杯。

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