自分にはバレているから【今日もコレカラ/第1004回】
函館に来て思い出したのは、高校3年生のインターハイ予選のこと。
そのころ私は男子テニス部の男の子と付き合っていて、その彼も函館の北海道予選にきていた。
で、付き合いたてホヤホヤだったから、なにかと気になる。試合の前なのに、うまく集中できない。で、次の日、若いチームに驚くような負け方をした。
2年生のときはインターハイにも国体にもでたのに、3年の時は予選を突破できなかった。
物理的に、夜、あいびきしてたとか(古い言葉だ)、眠れなかったとか、そういうことは一切なかった。
ただ、試合の前に精神統一できていない自分を自覚しただけだ。
で、こういう「やるべきことをやっていない」のって、土壇場で自分を信用できなくなる。できることは全部した、と思えないことが不安をよぶのだ。
まさに、高校3年の時に負けた試合がそうだった。相手チームの気迫に満ちたプレイに気圧されて、ああ、私、ここまで真剣にやってきたかなと、ふと不安になった。これで、がらがらと崩れた。
先日、ノンフィクション作家の堀川惠子さんに公開でお話を聞く機会があったのだけれど、賞を受賞されたご著書の中で一冊、買うのを忘れていて、でも古い本なので当日までにどうしてもそれまでに手に入りそうにない本があることに2日前に気づいた。
何冊もある本の中で、一冊だけ読めていなくても、きっと問題はない。しかも、その本について触れる機会はないだろうし、未読がバレることもないだろう。そもそも、その著作についてのインタビューでもない。
だけど、一冊未読の本があることは、自分にはバレている。そのことはきっと、いざとなった時、自分を不安にさせる。どうしよう、古本屋さんを回るか。
そう思ったときふと、ひょっとしたらさとなおさんのお店にはあるかもしれないと思った。
数千冊の本に囲まれた、さとなおさんのブックバー。
果たして、ありました。
さとなおさんのバー、ドラマHEROに出てきた田中要次さんのバーのようだ。

当日、やはりその本の話は1ミリも出なかったけれど、(精読はできなかったとはいえ)、できる準備はしたと思って臨めたから、落ち着いて話を聞くことができた。
サボっても人にはバレない。
でも、自分にはきっちりバレてる。
準備って自分を信じるために、やるんだなあ。
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堀川:私は長年ノンフィクションの分野で仕事をしているので、リサーチは仕事の一部です。
- Writer
- #佐藤 友美