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バズや収益だけではない! SNS活用のポイント【絵で食べていきたい/第34回】

フリーランスで仕事をする際、今やSNSは重要なツールの一つです。しかし「バズること」や「収益化」だけがその価値ではありません。私のフォロワー数は決して多くはありませんが、長年SNSを活用してリアルなつながりや仕事のチャンスを得てきました。今回は、マイペースな私なりの、SNS活用のポイントをいくつかご紹介します。

1 発信者の視点を学んで効果的な応援をする

私がフリーランスになったのは2000年。その数年後に『mixi』や『Twitter』などのSNSが登場しました。当初から仕事や告知に利用できそうだと思ったので、その心構えで発信をしました。試行錯誤しながら続けるうち、どういうときに拡散や「いいね」をしてもらうと嬉しいかが、実感としてつかめてきました。他者への自分のリアクションも、発信者として考えるようになりました。

たとえば、友人や知人が何かを投稿したとき、「ここぞ」というタイミングで応援のリポストや引用をする。イベント告知、作品の公開、挑戦の報告などです。特に、多くの人が喜んで拡散する投稿ではないけれど、本人としては広げたいだろうな、と感じるものは積極的に応援します。勇気を出して意見を書いたな、と感じる投稿には真っ先に「いいね」をします。私一人の拡散力は限られていても、「見ているよ」「応援しているよ」という気持ちは、そういうときほど相手にしっかり届きます。こうした積み重ねが、信頼や関係性の土台になります。結果として、自分が広げたい投稿なども応援してもらえます。もちろん全て期待通りにはいきませんが、少ないフォロワー数でも「しっかり読んでもらっている」「応援されている」と感じると心強く、投稿を続けるモチベーションにもなっています。

2 テクニカルでなくても、親切な投稿を

強固なブランド構築や、大きなフォロワー数が目的でなければ、各プラットフォームが定めたルール内で気楽に投稿すればよいと思います。それでも折角書くなら、抑えておきたいポイントがあります。たとえば、イベントの告知などで特に気をつけたいこと。それは、一つの投稿に必要な情報が全てまとまっていることです。見た人があちこち探したり、遡ったりしなくても良いように、日時や場所、内容などをしっかり書くこと。投稿におさまらなければ画像にする、URLに誘導する、ツリー形式でつなげる方法もあります。できれば日時は年から、場所は都道府県から書きましょう。SNSは自分とは違う環境の人が目にする可能性が高いからです。その地域の人にとってはすぐわかる住所でも、他県の人にはピンときません。興味あるイベントを保存したものの、よく調べたらとんでもない遠方だったらがっかりするでしょう。年についても、あるワードで検索したら出てきたイベントが、よくよく見たら数年前のものだった、ということがよくあります。投稿者にとっては当たり前のことでも、どれだけ他者からの目線で考えられるか。SNSに限らず、大事なポイントだと思います。

3 見ているだけでも、関係は育つ

SNSでは発信や反応をするだけでなく、ただ見ている時間も多くなります。コメントや「いいね」をする余裕がないときでも、定期的にタイムラインを眺めていれば、相手の活動や変化を把握できます。現在は、多くの人がいろいろな場所で発信をしています。友人知人でも、自分の投稿を毎回読んでくれているはず、と期待はできません。そんな中、リアルで会ったときに「最近○○をしていたね」などと声をかけると、相手は驚きつつも嬉しそうにしてくれます。しかし、直前にいくつかの投稿だけ見たな、と感じる言葉や、何年も前の情報を会うたびに繰り返されると、本当は興味がないのだなとがっかりすることもあります。付け焼き刃のテクニックのようには使わないほうがいいと思います。

4 自分のペースを守ることが、長く続けるコツ

SNSは情報量が多く、触れすぎると疲れてしまうこともあります。計画的にSNS投稿ができるならそれに越したことはありませんが、調子を崩してしまうぐらいなら、自分のペースで使うことのほうが大切です。

SNSでの議論等には別の注意も必要です。流れてくる投稿者は日々入れ替わり、1つのテーマについて論じることが難しい上、そこで議論する人の目的がバラバラだからです。投稿に対する反応の大きさが収益につながる場合もあり、あえて議論を収束させず争わせる方向へ誘導する人もいます。議論の内容そのものに興味がない相手を変えようと、良識ある人が疲弊してしまう。その人を支えようと、また新たな巻き込みが発生する。もっとも避けたい事態ですが、これはインターネットに限らず、どの世界でも起こり得ます。

ですから無理をして毎日投稿しなくてもいいし、反応できない日があってもいい。それでも続けることで、自然体の自分が伝わり、同じような価値観の人とのつながりが生まれやすくなります。私もときにはがんばったり、飽きたりと波のあるSNS活用をしていますが、完全にやめないことで、忘れた頃に予想外のつながりができることもあります。ずっと昔の投稿が掘り起こされたり、再投稿したら急に注目を浴びたり、毎日せっせと投稿しているときは全く増えないフォロワー数が、しばらく放置をしている間に増えていた、ということもあります。

5 オンラインからオフラインへ、ゆるやかにつなげる

SNSを通じて知り合った人と、リアルで会う機会も生まれます。イベントで偶然会ったり、仕事の相談を受けたり。私は同業の友人が多いといわれますが、多くの人とはSNSがきっかけで知り合いました。SNS上での交流が丁寧であるほど、つながりはスムーズにリアルへと発展します。「この人なら安心して会える」と思ってもらえるようなふるまいが、オンラインでも大切です。

SNSは、ただのツールではなく、人との関係を育てる場でもあります。仕事も、人と人との間にしか生まれません。そう考えると、気にするべきはバズやフォロワー数だけではないはずです。これからも自分らしいペースと使いかたで、SNSとつきあっていきたいと思います。

文/白ふくろう舎

白ふくろう舎さんの連載から生まれた一冊


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