私たちの出自と取材の方法【さとゆみの今日もコレカラ/第402回】
一昨日の塚田智恵美さんの記事は、みなさん、もう読まれました?
そこに書かれていた取材の方法や、取材現場の「場づくり」の話が面白かったので、「かがみよかがみ」の編集長、伊藤あかりさんと話をしていた。
そこで話題になったのが、「取材って、その人がどういう媒体出身だったかによって、やり方に傾向があるよねえ」という話。
伊藤さんは新聞記者出身なので、基本的に「人が聞かれたくないことを『当て』にいく」取材が多い。こう質問すれば、こう答える、だったらそのタイミングでこの事実をぶつけよう。そこで、スクープになるような言葉が取れたら万歳。
以前、伊藤さんに「取材相手を怒らせることはないの?」と聞いたら、ポカンとされていた。相手を怒らせる、怒らせないという判断軸で取材を考えたこなかったとおっしゃる。「怒らせたら困るという基準で質問しないとか、一番やっちゃいけないやつ」と、彼女は言う。ジャーナリストとライターの違いを感じる。
私はテレビ出身なので、「決め」になる言葉を1つだけもらえればオッケーと思う傾向がある。情熱大陸の予告編で使われる一言、みたいなイメージだろうか。
その後も文字数に制限がある雑誌で書いてきたので、やはり、その人にしか言えないキーとなる言葉を探していたように思う。たとえば2時間聞いて800字にまとめる連載を3年やっていた。ハッとするエピソードひとつ聞ければ、オッケー。そして、そのエピソードは一人の話の中に無数にあると思っているから、どのエピソードを聞いたとしても原稿は成立すると思っている。私の取材の場は、いったりきたり、おしゃべりのような感じになることが多い。
塚田さんは、教育関係の編集者出身で、中高生に話を聞く仕事を長くしてきた人だ。
①大人の質問の意図を汲んで「いい子ちゃん」な返事をしてくれる学生さんと、②大人の質問の意図を汲んで「絶対に誘導されないぞ」と考える学生さんから、どうやって本音を聞き出すかに腐心してきたと聞いたことがある。
塚田さんの原稿を読んでいると、「(相手が意図する、意図しないにかかわらず)口に出している言葉が、必ずしもその人の本心ではない」ことに、とても繊細に対応している人なのだなと感じる。
尋問しない、枠にあてはめない、そういうことを大事にしてきたのだと感じる。なので「パスあり」の話が面白かった。
私たち3人は、その後、同じ媒体でそれぞれ取材したり原稿を書いたりすることもあったのだけれど、出自が違うと取材の方法もだいぶ違うよねえなどという話をしてました@ホノルル。
南の島でも結局文章の話をしている私たち。
塚田智恵美さんとのスペーストーク(取材での質問と相槌・約35分)はこちら
伊藤あかりさんとのスペーストーク(エッセイの書き方・約35分)はこちら
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