
一目散に選ばれる【さとゆみの今日もコレカラ/第811回】
京都文学フリマ、楽しかったー。
周囲に、次から次へとお客様が来るブースがいくつかあって、早々に完売店じまいしていた。
こんなふうに、一目散に目当てにされる文章を書きたいものだ、と思う。
そして、そんなふうに目当てにされる人たちの名前や作品を私は全然知らなくて。なんて自分が見ている世界は狭いんだろうと思う。
見本を見て、この本が欲しいと思ってきましたと立ち寄ってくださる方が何人もいた。一緒に店番したメンバーが嬉しそうだったのが、幸せだったなあ。自分の書いた文章が「買われる」場を見られるなんて、なかなかないよね。
さとゆみの本で言うと、新作は41冊、旧作は12冊、旅立っていきました。書店のバイヤーの方にお声かけいただいたのも、初めての経験で嬉しかった。買っていただいた子たち、楽しんでもらえますように。
その夜、1日ママをさせていただいた日本酒サロン粋suiには20名ほどの方々が来てくださり。文学フリマ帰りの方も多かったので、あちこちで「これからの文章」についての話を聞けたのもまた楽しく。
家に戻り、それにしても、この広い会場の中から「選ばれる」ことの途方もなさを考える。一緒に店番をした人が「『ファンベース』本を思い出した」とぽつり言っていた。情報砂の一粒時代。
いつかは、一目散に目当てにしてもらえるような書き手になりたい。そうなるにはどうすればいいのか。書く技術以外にもいろいろ鍛えなきゃいけないことがあるように思った。
いい時間だったなあ。

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嘘ってつくのは簡単だけど覚えているのが難しいよね【さとゆみの今日もコレカラ/第810回】
日曜日の文学フリマで、『舌を抜かれる 9本のエッセイのうち、6本は嘘』というエッセイ集を販売します。
すでにネットで注文くださっているみなさま、ありがとうございます。文学フリマが終わったら、お送りさせていただきます。
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エッセイに嘘ってありだっけ? ナシだっけ? みたいな話でいうと、私はかなり厳し目に嘘を排除して運用している。一度でも明らかな嘘をOKにしてしまうと、全部に対して歯止めが効かなくなるのが怖いと思ったからだう。
エッセイに嘘をついて良いか問題を考えるとき、短歌業界でも巻き起こった論争を思い出す。
ある有名な短歌の賞をとった作品群(それは父親の死をテーマにした短歌集だったのだけれど)実は作者の父親は死んでおらず、想像で詠んだ短歌だったということがわかったとき、だいぶ論争があった。
短歌は身の上に起こったことをうたうべし。というのは不文律で、たしかに明確にルール化されているわけではない。エッセイも同じで、明確なルールはないけれど、たとえば、岸田奈美さんのエッセイ集が作り話だったら、怒ってしまう人もいるだろう。
そんなエッセイに対して、あえて嘘を仕込んでみたら、どうなるだろう。そんな問いからスタートしたこの本。京都文学フリマで初出しさせていただきます。ブースは「あ-13」。
さとゆみゼミ有志メンバーの新作ZINEも販売していますよー。
そして、夜は京都の日本酒サロン『粋』さんで、1日ママもしています。文フリ帰りにぜひどうぞ。
そして、いま初めての告白なのですが。
『今日もコレカラ』の366本のうち、1本だけ。最初から最後まで嘘を書いた日があります。あの日はなんでそんなことをしようと思ったのだろう。あれは、366本のうちの1本。今回は9本のうち6本が嘘です。
みなさん、お待ちしていまーす!(京都文学フリマにこられない方は、こちらでお求めいただけます)
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「9本のうち6本が嘘」のエッセイ集をつくりました 【さとゆみの今日もコレカラ/第809回】
『舌を抜かれる 9本のエッセイのうち、6本は嘘』というエッセイ集を作りました。
昨年の年末、ブックライティングやインタビュー原稿を生業とする佐藤智さん、田中裕子さん、そして私、さとゆみの3人が京都で会い、「何か一緒に作りたいねー」となったのが今回のエッセイ集のはじまりです。
・一人3本ずつ書く。
・3本とも、最初の書き出し140文字(だいたいTwitter/Xのポストくらい)は本当のことを書く。
・そこから先、最後まで本当の話を1本、残りは嘘を書いてもいい
というルールを決めて、年末年始にみんなせっせと書きました。
2人の原稿ももちろん読んでいるのですが、え、どれが本当でどれが嘘? ってなっています。お互いに、答え合わせはしないって約束。
昨年、ライターの堀香織さんとトークイベントをさせてもらったとき、「エッセイに嘘はあるか」という問いをもらいました。
佐藤智さんも、田中裕子さんも、そのときイベントにきてくださっていたんですよね。
そのときからずっと考えている「エッセイと嘘」をテーマに、尊敬する2人と一緒に創作ができたのは、めっちゃくちゃ楽しかったです。
デザインはさとゆみゼミ3期のたっつみんにお願いしました。

すっごく可愛い1冊になっているので、ぜひぜひ、手にとってください。
京都文学フリマで初出しさせていただきます。ブースは「あ-13」。
さとゆみゼミ有志メンバーの新作ZINEも販売していますよー。
そして、夜は京都の日本酒サロン『粋』さんで、1日ママもしています。文フリ帰りにぜひどうぞ。
みなさん、お待ちしていまーす!(京都文学フリマにこられない方は、こちらでお求めいただけます)
仕事相手に「選ばれる」理由【さとゆみの今日もコレカラ/第808回】
先日アップされた塚田智恵美さんの連載、もう読みました?
とても面白いので、ライターだけではなくフリーランスの皆さん、ぜひ読んでもらえましたら!
ライターが選ばれている理由って、ほんと原稿だけじゃない。
私は「誰かいいライターさん紹介して」と年中言われて脳内検索しては人を紹介しているので、これ、すごくよくわかる。
実は、宣伝会議さんで講師をさせてもらうことになった時、「さとゆみに、仕事を依頼してくれるのはなぜか?」アンケートをとったことがあった。10人くらいの編集者さんから45個くらいの理由をもらったのですが、「原稿が上手いから」は1個しかなかった!(いいのかそれで!)
このアンケートをもとに、『書く仕事がしたい』を書いたのを思い出した。
これ、ライターさんだけの話ではなくて、先日地方でカメラマンさんをお願いしたくて、その地域のライターさんに紹介してもらったのだけれど
そのとき私がお願いしたのが
・長丁場の現場でもお付き合いくださる人
・素人さんも優しく撮ってくれる人
つまり、気を遣わなくてよくて、気持ちよく仕事をできる方、というお願いをしました。
ご紹介してもらったカメラマンさんはすごくキャリアの長い方だったのだけれど「とても腰が低くてお仕事しやすい方です」と添えられていた。
ベテランさんでも結局、そういう方が残っていくのだなあと思う。
われら、お座敷かかってなんぼの仕事。仕事しやすい人でありたいなと胸に手を置く。
と、書きながら、そういえば別現象も起こっている。
最近いただいているお仕事は、「あの原稿を読んで」というピンポイントのご依頼が多い。
なかには私が友達の結婚式冊子に書いた文章を読んでとか、24時間で消えた「今日コレ」原稿をスクショしてましたなどとおっしゃってくださったり。
えええ、あの原稿を? と思うようなところからお仕事がくるのもびっくりです。
朝日新聞さんで書いた原稿、を読んでくださったダイヤモンド社の編集者さんからいただいたご依頼で、『弱さ考』を考える、略して「#弱さ考考」が始まりました。こちらもよろしければ。
★「今日もコレカラ」は24時間に1回、夜あたりに更新されます。時間未定の夜更新になったので、何日か分のバックナンバーは文末においておきます。
「人の話を聞くのが好き」なのは「自分LOVE」だからでした(私の場合)【さとゆみの今日もコレカラ/第807回】
本日、「人の話を聞くのが好き」が高じすぎた方のお話を聞かせていただいてて、それがすっごく面白かった。その話は近く原稿になるので、そのときにご紹介させていただくとでして。
私も人の話を聞くのが好き。
ほんと、誰彼かまわず、いろんな人に質問してまわるから「さとゆみさんて、ほんと、人に興味あるんですねえ」と1000回くらい言われたことがあるけれど、ごめんちゃい、人に興味あるっていうか、自分に興味ある。
いろんな人の話を聞くと、自分との差分がわかる。
差分がわかると、自分の居場所がわかる。
物差しをもって歩いているようなものなのです。
うわああ、知らんかった。
うわああ、知ってたけど、その考え方したことなかった。
うわああ、それ考えたことあったけれど、そこは思いつかなかった。
うわああ、完全に同じこと考えてた。だけど、たどり着くまでの道のりが違う。
そんなふうに自分を起点に話を聞いていると、どんな話だって面白いの一択で、自分からの距離が遠ければ遠いことを面白いと思うし、近ければ近いことを面白いと思う。
原稿を書くときも、自分との「差分」について考えたことを書く。
私は、「自分のこと」を書いているように思われるし、自己開示があけっぴろげな書き手だと思われているけれど、「自分のこと」を書いていることはほとんどなくて「自分と何かの差分」について書いている。
私と彼(ないしは、私と世界)の間にある差分は何だろうということを書いてる。
これは、エッセイやコラムでもそうだけれど、インタビュー原稿でもそうだ。
ということを言語化できた、楽しい夜でした。
らびゅー。

