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青と赤のマトリョーシカ【さとゆみの今日もコレカラ/第754回】

京都の紅葉が見たいというので、母と瑠璃光院に行ってきた。

ここは紅葉の時期は予約をしないと見学できない。三連休は全滅だったけれど、幸い金曜日は空きがあったので、1枠確保して京都に向かった。

ここにくるのは3年半ぶりだ。
ゼミのメンバーと比叡山ふもとの大きなairbnbを借り、執筆合宿したとき、みんなでここを訪れた。コロナ禍だったので、私たち以外に客はほとんどおらず、瑠璃光院名物の青紅葉を堪能した。

今回はこの紅葉バージョン。8分くらいの色づきで、少しずつ薄暗くなりゆく時間帯、ほんのり赤い紅葉が美しい。

で、この写真なのだが、どうやって撮影しているかというと、これが非常に俗世間的である。
こんな感じ。

和室の片隅に黒いテーブルが並べられ、そのテーブルに映る紅葉をみんなが必死に撮影している。
ここは2階部分なのだが、2階に上ってきた若い女性が「あ、こういうこと?」と言っていて、面白かった。

案内をする係の人は「撮影が終わったら、後ろの方に席を譲ってください」とか「テーブルに手をついて撮影してくださっても大丈夫です」などとアナウンスをしている。
この案内人の方の目には、ほんの少しでも映える写真を撮ろうとむらがる私たちは、どんなふうに見えるだろうと考えながら、私もその群れの一員となった。
肉眼で見るよりも赤がくっきり映る。

帰り道、母と「あれ、どこかのタイミングで誰かが、ここに黒いテーブルを置けば紅葉が写って綺麗だということに気づいたんだよね」と話す。
母は10年くらい前に一度きたことがあるけれれど、その頃にはもう、瑠璃光院の紅葉は有名だった気がすると言う。
和室の一角にテーブルを集めるなんて普段づかいじゃないから、何かのタイミングで気づいたのだろう。それに気づいた人はどう思っただろうか。その先、令和の人間が先を競って「映え写真」をに殺到するとは想像していなかっただろう。その人はいま、天国から(極楽か?)、この風景をどう見ているだろう。

さらには、だ。その極楽で私たちを見ている考案者の人を、この寺を作った人はどう見ているだろう。

俯瞰の位置をどんどん上に持ち上げる。

紅葉を撮る私たち。
私たちを見る案内人。
それを見下ろす天国(極楽?)の人。
その人を見る開祖。

なんて想像をしていたら楽しくなって、スキップした。マトリョーシカみたいではないか。

あとから調べたら、瑠璃光院は、明治時代の実業家の別荘地だった。その後高級料理旅館となり、2005年に寺院になったのだという。
あら。まだ20年。

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