
いつも心にエンピツを【さとゆみの今日もコレカラ/第 78 回】
3 月に上梓する新刊のゲラをチェックしている。
まっさらなゲラと、編集さんや校正さんからの指摘の入ったゲラを並べてチェックしていく。明らかな誤字脱字には赤字(朱字)が入っている。あんなに読み返したのになと思いながら、粛々と転記する。
一方で、疑問や提案はエンピツでコメントが残っている。日本語表現としては誤用だけれど、わざと残したノイズを「あえてですか?」と指摘されていることもあれば、コンプライアンス的な配慮が足りてなかったり、事実確認が甘かったりすることに対する指摘もある。
著者はこれらエンピツの疑問や提案を取捨選択して、修正したりしなかったりしてゲラを戻す。
このエンピツが、好きだ。
これは文章に限らないけれど、日々直面する大抵のことは、白か黒かとはっきり判断できるものではない。
グレーのゾーンをどちらに寄せるのかが、その人の人生を作る。
子どもに何かを指摘する時も、これは赤字案件だなと思う時と、エンピツ案件だなと思う時がある。
人に危害を加える可能性がある時は赤字なので厳しく注意するけれど、それ以外は大抵エンピツ案件だ。「こういう考え方もあるけれど」と私見を伝え、取捨選択は任せる。
赤ペンだけではなく、いつもエンピツを持ち歩いていたい。
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【この記事をおすすめ】
「あのシーンどう思った?」「私はこう思うんだけど」と、読み始めたらきっと誰かに語りたくなる……。自分ではない他者を介在させたい、いやせざるを得ない、それが『BEASTARS』です。


