
声帯様。プロの常識、一般人の非常識。【さとゆみの今日もコレカラ/第 108 回】
昨年末、喘息で咳き込む日が続いた数日後、声が出なくなった。過去に何度か結節ができて声が出なくなったときは、数日で治ったのだけれど、このときは1週間経ってもかすれた声しか出ない。
内視鏡を入れたら、白板ができていると言われた。
「これは、時間かかりますねえ」
「どれくらい?」
「まあ、1、2週間では治らないです」
と、先生が言う。
まいったなあと思う。私はライターのふりをしているけれど、いま、仕事の3分の1くらいは「話す」になっている。来年のライティングゼミ、できないとなると、いろんな計画が狂うなと思う。
なるべくのどに負担をかけないように生活した。アルコールを控えて、ぬるめの白湯ばかり飲んだ。可能な限り声は出さないように。どうしても何かを話さなくてはならないときは、ひそひそ声でできる限り声帯に負担をかけないように。
そうして過ごして3週間たっても、声は元に戻らない。そこで、知り合いの著者さんに連絡をした。ボーカリストとして活動し、プロアマ問わずボイトレレッスンを提供している著者さんだ。かくかくしかじか。気をつけることは気をつけているつもりなのだけれど、あと何かできることはあるでしょうか?
声帯のことを「声帯様」と呼ぶほど、発声を大事にする彼女は、びっくりすることを言った。
「ひそひそ喋るのが、声帯様に一番負担がかかる」
うっそーん、となった。
いろいろサイトを見たけれど、そんなことどこにも書いてなかった。病院の先生も教えてくれなかったよ。
なんでも、ひそひそと話すことは、声帯様に風をぶつけてカサカサこすっちゃうのと同じなのだという。声を出さないのが一番だけど、出すならば、ちゃんと声帯をふるわせて話して。あと、さとゆみさんは、話す時に呼吸が強すぎる傾向があるから喉を痛めやすい。呼吸を強くしないように意識して、とアドバイスしてくれた。あと、お酒は飲まないほうがいいですと。うむ、やはり。
そのアドバイスを聞いてから1週間、やっと声が戻ってきた。再び内視鏡を入れて検査すると「まああとは時間が解決してくれます」と先生が言う。年末年始を超えられるだけの薬をごっそりもらって帰ってきた。
それにしても、ひそひそ声が一番声帯に負担をかけるだなんて、思ってもいなかった。
かように、プロの常識は一般人のソレと真逆のことが多い。本の企画を考えたり、雑誌やウェブ記事の企画を立てるときは、「プロの常識、一般人の非常識」「一般人の常識、プロの非常識」を集めるようにしているのだけれど、この件は久しぶりに驚いた件でした。オチはないです。声がどれほど大事か身に沁みたので、彼女のボイトレを申し込みました。
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私は、売れている本の構成もフォーマットもバラバラにして、装飾されているものを剥ぎ取って、完成前の編集者の頭の中を探るようにしています。


