
ブレイクしない【さとゆみの今日もコレカラ/第 147 回】
web 記事の企画を出すときにも、書籍の企画を出すときにも、意識しているのは、「プロダクト・ライフサイクル」だ。
プロダクト・ライフサイクルとは、ある商品やサービスの寿命を、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階で説明する理論である。
私は企画をするときに、そのテーマが、今、プロダクト・ライフサイクルのどの段階にあるかによって、内容を変えなくてはならないと思っている。
導入期であれば、その詳細を伝えるだけで十分コンテンツになる。
しかし成長期・成熟期であれば、すでにそのテーマで多くの人がアウトプットをしているから、オリジナリティのある切り口が必要になる。
衰退期であれば、「なぜ今さら」感を払拭する発想の転換が必要になるだろう。
このプロダクト・ライフサイクルと企画の関係については、『本を出したい』に詳しく書いたのだが、その話から発展して、担当編集者のりり子さんが先日言及していた「著者(書き手・発信者)のプロダクト・ライフサイクル」についての考察が面白かった。
以下、りり子さんの X(旧 Twitter)からの引用。
自身にもプロダクト・ライフサイクルがあるということはよく考えたほうがいいというような話をちょうど某著者にもしたところ。
売れる→注目される→色んなとこから依頼殺到→出涸らしになる→飽きられる→終わる。
この流れが起きるのは、個人として売れた養分を起爆剤に新しい方向に成長/成熟しなくては本来ならなかった時期に、各社(版元)に食い尽くされてしまうからなんですよね。
親身なプロデューサー/マネジャー(編集者)が一人いればいいのだろうけど、残念ながら編集者は宮仕えなので一見マネジャーのような業務をしていても、あくまでゴールは目の前の本を売ることだったりする。その編集者が自身の未来まで親身に考えてくれる人なのかはシビアに見極めなきゃならない。
成長期で消費されて終わるか、成熟できるかは、
・自身の商品価値を厳しく判断すること
・目の前のビジネス以降も付き合っていける人と付き合うこと
・勉強し新たな枝を伸ばすこと
にかかってるな、と。
これは、まさにその通りだと思う。
私自身を振り返ってみても、『女の運命は髪で変わる』が売れたとき、15 社ほどの版元(出版社)から、2冊目を書きませんか? の連絡をもらった。
でも、1冊目で 15 年間のヘアライター生活で考えたことを出し切ってすっからかんになった私に、新しい内容を盛り込んだ書籍を書ける気がしなかったし、なにより「ブレイクしたくない。ブレイクすると、飽きられて仕事がなくなる」と思っていたので、今、この波に乗るのは絶対に危険だ、と思った。あのとき、ほくほくと髪についてばかり発信していたら、私は全然違う道を歩いていたと思う。
ありがたい出会いにも恵まれたと思う。
その後、私が髪の本以外の仕事ができたのは、
当時「ヘアライター」と「ブックライター(書籍のライター)」の肩書きしかなかった私に、
「さとゆみ、連載しない? 今、書きたいテーマある? 髪とエロ以外で」と声をかけてくれた明美さん(『ママはキミと一緒にオトナになる』の担当編集者さん)と
「さとゆみと何か仕事したいねん。何か、書きたいテーマある? 髪の本以外で」と声をかけてくれたりり子さん(『書く仕事がしたい』と『本を出したい』の担当編集者さん)がいたからだ。
本業の幹を太くしていくか。
それとも本業の幹から手を大きく広げて枝葉を増やしていくか。
それは人それぞれだと思う。
私は、髪に関しては、プロダクト・ライフサイクルを意識しながら3冊の自著を書いた。そして、髪からちょっと離れたプロダクトを新たに作ることができないかも同時に考えてみた。
そしていつも、自分で自分を消費しないように。ブレイクしないことを意識して、ひっそり目立たぬように活動してきた。
で、そんな私が、最近思うことなんですけれど。
先も短くなってきたので、最近よく、思うことなんですけれど。
安西先生、そろそろ、ブレイクしたいです。
【この記事をおすすめ】
8年前に考えたコンセプトが今も通用するというのは、あまりないことですが、この本は「今こそ出したほうがいい」という気持ちがどんどん強まっていきました。


