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頑張れだけじゃ頑張れない【さとゆみの今日もコレカラ/第 309 回】

息子が野球を始めたので、ときどき試合を見にいく。

相手チームのコーチが、ミスをした選手に対して「もっと気合を入れろ!」「やる気あるのか!」などと檄を飛ばしている姿を何度か見た。そのたびに父のことを思い出した。

長年ソフトテニスのジュニアのコーチをしていた父は、そういう指導者の怒鳴り声を聞くたびに、悲しそうな顔をして「ミスしたくてしている選手なんていないのになあ」と言っていた。

父が教員になって小学生にテニスを教え始めたとき、地元にとても有名な指導者がきたことがあったそうだ。「各学校、1名選手を出してください。フォームを見てあげます」と言われ、どんなに指導してもボールがスライスしてしまう選手を見てもらうことにした。

その先生は、たった5分でその選手のフォームを矯正したという。そのときの選手の嬉しそうな顔が忘れられないと、父はよく言っていた。その日以来、子どもがうまくできないのは指導者のせいなのだと考えるようになったそうだ。その子ができない理由を考える。そしてその理由を排除してあげる。わからなければ指導できる人に聞きにいく。父は、休みがとれるたび、全国各地の強豪校を見学してまわっていた。

父は、「ラケットの真ん中でボールを打て」と言うのではなく、ラケットの真ん中をくりぬいて洗濯ネットをつけて打たせた。うまく真ん中でボールをとらえることができたら、ボールはネットの中に入る。ゲームのような感覚で、「真ん中で打つ」を覚えることができた。

「ネットの10センチくらい上を狙え」と言うかわりに、実際ネットを10センチ高くして練習させた。「イースタングリップで打て」と言う代わりにバドミントンのラケットでスポンジボールを打たせ、その感覚を体に教え込んだ。

一時が万事そんな感じで、いつも新しい練習法を考えていた。

✳︎

昨日、息子が「急にボールが速く投げられるようになった」と帰ってきた。

何かあったの? と聞いたら、先生が足の方向を変えて投げるように教えてくれたんだと言う。こうして、ああして、と彼は教えてもらったことを私に伝えてくれる。とても嬉しそうだ。いい先生に習えてよかったねーと、私は彼に言う。

そして、私ももっと勉強しなくちゃと思う。

ライティングゼミのメンバーや、エッセイ講座の受講生からいろんな質問をもらう。「てにをはの間違いに気づけないのはどうすればいいですか」「どうすればエッセイの種に敏感になれますか?」……etc.etc.

いろんな方法を考えてやってもらい、それではできなかったと言われ、また考える。ときには、受講するメンバーと一緒に解決策を考えることもある。

最近はいろんな人のライティング本を読んだり講座を受けたりしている。どんな教え方をしているのかを知るためだ。

小学生も中学生も、ライターの卵も、ライターのベテランも、みんな、うまくなりたいのだ。気合いは入っているのだ、やる気はあるのだ。頑張りたいのだ。正しい頑張り方を知りたいのだ。教える側がもっと成長しなきゃいけないのだ。

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そもそも僕、「赤字を入れる」という表現が好きじゃなくて。「赤」っていうのが嫌ですよね。赤点みたいな、ネガティブな印象がある。少なくとも、自分が入れる赤字は、なるべく血の通った「赤」として受け取って欲しいなって思っています。

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