
AIにまだ書けないこと、4(3+1)つ【さとゆみの今日もコレカラ/第 311 回】
今年のはじめにHON.jpという特定非営利活動法人の代表の方からご連絡があった。「本(HON)の作り手をエンパワーする」組織だそうで、CORECOLORの「編集者の時代」に興味を持ってくださり、カンファレンスに登壇してほしいとのご連絡だった。
一度zoomで話を伺うことになったとき、CORECOLORのマネタイズ方法と、生成AIの脅威について聞かれた。
CORECOLORに関しては、「マネタイズしていないし、これからもしないつもりです」と答えてびっくりされ、AIに関しては「AIによって仕事が楽になることはあっても、仕事が減るとは思わない。ライター仲間たちもほとんど気にしていないし、私自身もほぼ影響を感じない」と答えてまたびっくりされた。
どういう意味でしょう? と聞かれたので「私たちがやっているタイプのライティングは、AIの得意とする仕事と競合にあたらないと思っているからです」と、答えた。
ストレートニュースやまとめ記事などではなく、取材をして原稿を書く仕事(ライター業)と、自分の考えを書くエッセイや書籍の仕事(作家業)に関しては、今のところAIでは難しいだろうなと思う点が4つある。
①書く仕事の8割以上は、取材による。何を聞けたかが、何を書けるかに直結する。書く前にだいたいの勝負はついている。
②そして、残り2割の「書くこと」そのものに関しても、ある程度の長さの文章は、書いている最中に書くことが見えてくる。書く前には到達しない場所に到達するのが「文章を書く」という行為である。とくに書籍は。(ただ、これは文章に限らず、あらゆる創作活動はだいたいそうであろうと思う)
③情報を得るタイプの記事でない場合、読者は「何が書かれているか」と同時に「誰が、いつ書いたものか」を意識する。
④AIがまとめることができるのは、デジタル情報だけである(←NEW!)
春の時点では3までしか話さなかった気がするけれど、その後、「パネルディスカッションではなく、基調講演でその話をしてもらえませんか?」と言われ、「はーい、わかりました」と安請け合いをしてしまった。あとで、錚々たるメンバーのみなさまが登壇されると知って、ああ、これ分不相応なお仕事引き受けちゃったとちょっとビビっている。
ただ、このオファーをいただいたことで、ここ数ヶ月はずっと、「人間にしか書けない文章」について考える時間を持てた。いろんな人と会話ができた。それがすごくよかったと思っている。
今夜18時から「人間の書いた文章なのか? と問われる時代に」というテーマで30分間お話させていただきます。会場チケットは売り切れのようですが、リアルタイムのYouTubeライブは誰でもご覧いただけるようなので、ぜひ一緒に考えてくださると嬉しいです。
その後、「生成AI時代の書き手の生存戦略」というテーマで、猪谷千香さんと、碇雪恵さんとパネルディスカッションさせていただきます。ここでは、CORECOLORをなぜ運営しているのかについての話をする予定です。
こんな時代に、なんで私たちは書いているんでしょうね。書かなきゃいけないことは何なのだろう。いろんなお話を聞き、私自身もお話できるのを楽しみにしています。よかったら、ふらっとYouTube覗きにきてくださいね。


