検索
SHARE

嗚呼、哀しみの原稿料【さとゆみの今日もコレカラ/第359回】

私がライターになったのは、2001年のこと。原稿料の相場は、私がライターになったその年が最高値で、24年間ずっと下がり続けているという話は、『書く仕事がしたい』に書いた。

物価が上がっているのに、原稿料が下がっているのだから、働けど働けど、であります。

なのだけど、働けど働けどになっているのは、それだけが理由ではなかった。

数ヶ月前のこと。初めてお会いするライターの先輩後輩のみなさんと原稿料の話をしていたら、その場にいた誰よりも私の原稿料が安かった。「え、その文字数、その値段で書いてるんですか? それで、生活できますか?」と聞かれる。みんな、同じ文字数で、私の2、3倍もらっていた。

私はライター歴は長いけれど、クライアントワークの経験が少ない。

クライアントワークというのは、出版社やメディアではなく、企業から直接頼まれて仕事をすること。オウンドメディアの原稿や、企業のパンフレット、採用のためのインタビュー記事、企業ブログの原稿などだ。

普段クライアントワークをメインにしている人にメディアの原稿料の相場を話すと「え……?」と絶句する。

そういえば、私にとっては原稿料が相場よりも高くて、「この仕事、おすすめ!」と思う案件を推薦しても、「いや、普段その値段ではお引き受けしていません」と断られることが続いた。あれは、そういうことだったのか。

クライアントワークをメインにしている人に比べて安いだけではない。

かつて、Webライターの人たちが「一文字1円からスタートして4円まで上がりました」などと話しているのを聞いてびっくりしていたけれど、私の原稿料を計算したら文字単価が1文字3円とか4円のこと、全然よくある。書籍の原稿もインタビュー記事も。

その上、取材して書く原稿の場合、事前リサーチ、資料購入、取材場所までの交通費、取材時の拘束時間、ゲラチェック、再校チェック……etc.など、執筆以外にかかる時間(とお金が)ある。書籍なんて、取材が5回、6回に及ぶことはざらだ。どう考えても、Webライターより取材ライターのほうが生産性が低い。

書籍の場合は、ヒットすると印税をもらえるケースもあるので、夢はあるけれど、そうそう重版するものでもない。

この1、2年で、筆力の高いライターさんたちが、続々と書籍のライティングから足を洗っていった。完全にやめないまでも、だいぶ仕事を絞っているという人が増えた。たしかに、よっぽど重版し続けないと、生活していけないよな、と思う。「書籍ライターに憧れていたけれど、1冊やってあまりの大変さにくじけた」という声も聞く。

追い討ちをかけるように、書籍の初版冊数はどんどん減っている。刷り部数ではなく実売印税になったところも多いから、印税で原稿料をもらっている人も、同じ条件なら数年前よりもらえる金額がだいぶ減っているだろう。

嗚呼、哀しみの原稿料よ。

きみはこれからも下がり続けるのかい?

ーーーーーーー

【この記事をおすすめ】

最初、Webライターとは、雑誌ライターや新聞記者のように、Webに記事を書いている人たちを表わす言葉だと思っていました。だから私自身もwebライターと言えるのかなと認識していましたが、定義が違うんですよね。

writer