
私の、私たちの、老後を考えている【さとゆみの今日もコレカラ/第482回】
日本を代表する美容院があって、その美容院は人材輩出サロンとして有名だ。次々とスター美容師を育て、店長に抜擢し、独立したいと言えばその支援もする。
売れっ子を囲い込み、独立しようものなら出入りのメーカーに圧力をかけて薬剤をおろさないようにする、もちろん顧客リストは渡さない美容院が多かった20年以上前から。当時、この方針は非常に新しかった。
経営者の方に話を聞いたとき「上がどんどん活躍してくれないと、下が育たない。下が育ったら上のポジションが足りなくなる。だから、独立できる人にはしてもらって、活躍してもらいたい」とおっしゃっていた。
とはいえ、誰もがスター美容師になれるわけではない。自分1人を食わせる売上としては十分でも、独立開業するには難しいという人もいる。流行の移り変わりが激しい業界だから、50代、60代で若い時代くらい活躍できるとは限らない。
そういう人に対しては「会社に残ってもらえる仕組みを作る」と言う。具体的には、顧客が少なくなってきたら「後輩を育てる」教育系・人事系の仕事にも関わってもらい、売上が減った分を指導費として払いたいと教えてくれた。
この話をずっと覚えている。
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私は、ライティングゼミをしている。
せっかく出会った「書く仲間」の人たちに、ゼミを卒業後もときどきCORECOLORに関わってもらうことで、何かよい循環を生めないかなあと思っている。
①ライター初心者の人には、デビューの場所になればいいなと思ってCORECOLORを立ち上げた。
②既に書ける人たちには、ときどき新しいチャレンジができる場所になればいいなと思っている。連載を持ってもらったり、他媒体ではなかなか通らない企画に挑戦して貰えればいいなと思っている。CORECOLORメンバーにセミナーをすることで、自分の技術の棚卸しをしてもらいたいとも思っている。
そして、ずっと頭の片隅にあるのが、③ライターとしては堅実に書けるけれど、この先、家族のケアや自分の体力の低下で仕事量を減らさなきゃいけないかもしれない人たちのことだ。この③には、自分自身も含んでいる。
そういうライターの人たちが、50歳、60歳、70歳になっても無理なく楽しく働ける場を作れないかと考えている。たとえば、後輩を教える技術をもつとか。たとえば、体力満タンのライターさんと組んで、編集業・ディレクション業で収入を得られるようにできないか、とか。
今年からゼミにチューターさんに入ってもらって、「教えるの裏側」を手伝ってもらっていたり、一人では受けきれないプロジェクトをチームで引き受けてみたりしているのは、ここに、みんなのライター老後の活路はないかなと考えているからだ。
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昨日、30年前に解散した三谷幸喜さんの劇団「東京サンシャインボーイズ」の復活公演を観に行った。サンシャインボーイズは、人気絶頂のピークで解散している。そしてそれは、三谷さんが「人気絶頂の今なら、この役者たちを全員、希望の事務所に入れてあげられるかもしれない」と思ったからだと、パンフレットに書かれていた。
自分は脚本家で演出家だ。だから芸能事務所のマネジメントはできない。人気絶頂の今なら、彼らをそのプロに引き渡してあげられると思ったそうだ。
かくて、劇団メンバーは全員、三谷さんに希望する事務所を伝え、三谷さんは彼らの希望する事務所に役者を雇ってもらうために奔走したのだという。
30年たって、当時のメンバーが集結した今回の講演、全員が全員、第一線で活躍したまま30年経っていることに何より震えた。還暦に近づく年齢になっている全員が、現役の役者のままなのだ。売れっ子なのだ。そんな凄いことある?
美容師老後。
ライター老後。
役者老後。
ぐるぐる考えている、この頃です。
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【この記事をおすすめ】
パンフレットの裏に印刷されたチラシには、「東京サンシャインボーイズ改め、老境サンシャインボーイズ」と書かれ、出演者たちの名前の横には、相島一之(62才)のように30年後の年齢が記された。目の前にいる役者たちはまだ20代後半から30代で、そこに書かれた年齢は遥か遠くて実感が湧かず、30年後の自分がどんな風に過ごしているかも想像できない。


