
人生の一冊【さとゆみの今日もコレカラ/第506回】
先週、「人生の一冊を選ぶなら何?」という質問をされ、過去に読んだ本を振り返る機会があった。
一冊はむずい。むずいけれどやっぱり一冊といえば、新井素子さんの「星へ行く船」シリーズの『逆恨みのネメシス』だろうか。『ママはキミと一緒にオトナになる』にも書いたし(自分を守る言葉)、ラジオトークでも話したし、telling,でも別角度から書いた(女子が生きていくために必要なことは全部「素ちゃん」が教えてくれた)。
いじめに遭っていた中学生時代、文字通り命を救ってくれたのが、この本だった。昨年、そのことを直接新井さんにお伝えしてお礼ができたのが、よかった。
人生の目標のようなものを決めたのは、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』を読んだときだろうか(「大人の女になるためにはむしろ、大人にならない領域が必要なのだ」)。高校時代だ。
主人公の母親、仁子さんのような大人になりたいなと思い、実際に親になってからは仁子さんならどうするかなと考えることがしばしばある。
詠美さんの本を最初に読んだのは、直木賞をとった『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』だった。大人の女ってみんなこうなのか! こんなにエロいのか? え、ちょっと待て。私もあと10年経ったらこうなれるのか? と興奮した(ならんかった)。生まれ変わったら、あんな人生をやりたい(やりたい、とは?)。
一人目の夫はあまり本を読む人ではなかったけれど、1DKの部屋の小さなカップボードに森博嗣さんの『すべてがFになる』のシリーズが全巻揃っていて、それがよかった。最初のうちはその本を借りに家に通ってたようなものだった。1冊借りて読んで返しにいく。次の1冊をまた借りる。10冊読み終わる頃には結婚を決めていた。
私の脳の半分は新井素子さんでできていて、もう半分は森博嗣さんでできているので、元夫には心から感謝している。
ここ10年のベストは、『Humankind 希望の歴史』だろうか。『LIFE SHIFT』も素晴らしい本だったけれど、でもやっぱり、『Humankind』のほうが私のベストっぽいと思う。
そう、本に限らないけれど、「みんなに好かれている」よりも、「私だからこそハマる」に、人は心惹かれがちだよね。
私はこの本を読んで、「人は本来、とても優しい成分でできている。そして『希望の歴史』を読めば、もっと優しく親切になる」を書いたのだけれど、まさに、「私、今世はこの方向でいこう」と腹がくくれた本だった。
これ以外にも、何かに迷ったときは「自分の感受性くらい自分で守れ、ばかものよ」を唱えるし、大きな影響を受けたのは平野啓一郎さんの「分人主義」と「過去は変えられる」だった。
もちろん、いろんな人の影響を受けていまの自分があるのだけれど。
私の心と身体と脳みそは、だいぶ本でできているなあと思う。
みなさんの心と身体と脳みそを作った、ベスト一冊は何ですか?
「今日もコレカラ」は、毎朝7時に更新して、24時間で消える文章です。今日もコレカラ、良い一日を。
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まさに今の私がほしい言葉ばかりが載っていた。これは、私のために書かれた本だと思った。


