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小説を書くことと、小説家になること【今日もコレカラ/第592回】

昨夜はあるベストセラー小説家の方とご一緒させていただいていた。
たまたまその方の新作を初稿の段階で読ませていただく機会があり、いくつか感想をお伝えした。
その時の小説が脱稿したから、お礼にとご飯に誘ってくださったのだ。

小説を書くことの難しさ、大変さについて聞いた。
私が読ませていただいた小説も、その後何度も書き直してまったく違う結末になって脱稿したのだという。初稿も面白かったけれど、書き直した小説は、もっと良くなったと担当編集者さんに言われたそうだ。

話を聞きながら、小説を書くことと、小説家になること(小説家であり続けること)は、全然別のことなのだと感じた。
この「小説」と「小説家」の部分は、「原稿」と「ライター(著者)」と言い換えても同じだと思う。

小説を書いたことがない人は、小説を書くことがゴールになる。でも実は、そこはただのスタートラインであって、書けばもっと書けるようになりたいと思うし、もっと精進しなきゃいけないことがわかる。
すでにプロの人たちがこんなにも精進しているのだ。後発の自分が「時間ができたらやろう」なんて気持ちで追いつけるはずがない。

昨夜私が何に気づいたかというと。

だったら、人生の終わりの方で挑戦するより、なるべくはやく、スタートラインに立った方がいいということだった。

私はライター歴25年だけれど、自分の原稿が上手くなったと思ったのは、21年目くらいの時だ。
そこから書くことがもっと楽しくなった。その楽しさを味わえたのは、25年前にライターになろうと思った自分がいたからだ。

いつかやろうと思って、やり始めたらその深淵さに気づいて、ああ、どうしてもっと早くスタートを切らなかったのだろうと後悔するのは悲しい。

やりたいことがあったら、可及的速やかに、自分が最も若い日に始めた方がいい。
つまり、今日だ。

そんなことを考えながら帰ってきた。

※「今日もコレカラ」は朝7時に更新です。バックナンバーが読めるようになりました。

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