
帰り道の文学【今日もコレカラ/第617回】
モンブランでゴンドラに乗ったとき。
氷の洞窟に行くために登山鉄道に乗ったとき。
行きの車内(?)では、ほとんどの人がケータイを出して景色を撮影していたけれど、帰りの車内で撮影をしている人はいなかった。
だけど本来なら。
同じルートを往復する場合、帰り道のほうが「ここの景色が美しい」という撮影ポイントがわかるはずだ。
行きはロケハンと考え、帰りが撮影の本番だと捉える。おそらく、プロだったらそうするのではないかと思った。
ワタナベアニさんの『カメラは、撮る人を写しているんだ。』の中に、「旅行に行ったら、1日目はその街を撮影してはいけない」と指南するページがある。
初めての場所に行くと、物珍しさだけでシャッターを押すだろう。その表面的な心の動きがそのまま写真に出てしまうんだよ。だから何日かいくなら初日は観察するだけにしておいて、撮りたくても撮らない。
そのようにして2日目以降に撮った写真は、新鮮さが消えてもやっぱり撮りたいと思えたものだけになるという話だった。
「面白いものを撮った写真と面白い写真は違う」
と、書かれている。
なんとなく、文章もそういうところがある気がする。
2日目の文学。
帰り道の文学。
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