
新人がデビューするには【今日もコレカラ/第633回】
ライターから売れっ子の小説家になられた方がいる。
ライター時代にふと思い立ってさらさらっと書いた小説を、当時付き合いのあった編集部の文芸担当者に見せたら「すごい、小説も書けるんですね。完全に商業レベルです」と絶賛されたそうだ。嬉しくなった彼は「じゃあ、出版していただけますか?」と聞くと、「それは無理です」と言われた。
いわく「この小説が有名小説家のものなら、十分セールスになります。でも、あなたは無名の新人なので、この作品では売れません」と言われたそうだ。
そんな話があるか、と思った彼は、別の出版社にも持ち込みしたけれど、全く同じことを言われたのだという。「非常に高いレベルの作品だけれど、無名の新人の小説は出せません」と。
この話には、いろんな教訓があるなと思う。たとえば
・新人がデビューするには、既存の作家たちと同等の作品では全然ダメで、それ以上でも難しくて、圧倒的じゃなきゃいけないんだということ。
・誰かと入れ替え戦をしてでも、この新人の作品を世に出したいと思われなきゃいけないということ。
・一作品しか書いていない新人が、すでに何十作も書けているベテランと入れ替わるのは至難の技であるということ。
では、くだんの小説家さんはどうしたかというと、最初に書いた小説の案を捨て、めちゃくちゃに練り込んだ入魂の作品を書いた。その作品を編集者にプレゼンしたときは、数百文字の概要が書かれた企画書の段階で相手が涙を流し、企画を通させてくださいと言ってきたそうだ。
ここにもいろんな教訓があるなと思う。
・断られた理由を分析してチューニングすること
・一度で諦めずやり直すこと
とか。
ライターの仕事は椅子取りゲームではないから、こんなにシビアじゃないと思うけれど、初仕事をとってくるのって本当に大変だと思う。
そのお手伝いができたらいいなと思って、このサイトを立ち上げたことを思い出していた。
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最後に、取材を終えて駄菓子屋を出ようとすると、小学校高学年くらいの男の子が「もう帰るの?」と声をかけてきた。


