
アルスラーン戦記と選挙【今日もコレカラ/第832回】
わけあって、アルスラーン戦記を読み直している。というか、オーディブルで聞き直している(音調整が事故レベルでひどいので聴く方は鼓膜注意)。1986年8月に第1巻『王都炎上』が刊行され、約30年の連載を経て2017年12月に完結した作品だ。
6巻まで読み(聞き)終わって、いくつか気づいたことがある。こんなことを書くのも僭越だが、田中芳樹さんの筆致がどんどん冴え渡っていく。
物語が進むほど、地の文章の表現がうなるほど巧みになっていく。とくに、次の章に行く直前の一行のバリエーションが、全部書き出したいほどである。
そしてこれは多分、翌年からやはり30年続いた『創竜伝』の影響かなと思うのだけれど、後半くすっと笑えるおしゃれなギャグが、会話ではなく地の文章にちらほら出てくる。声優さんがまた、楽しそうに読んでいる。
もうひとつ。実にまあ、人がよく死ぬ。名がついているものも死ぬし、名もなきものは「2万人死んだ」で片付けられるくらい、死ぬ。死に方も非常に悲惨だ。この本を読んでいると、死ぬほうが普通というか、生きているのが不思議というか、生きているほうが奇跡だと思ったりする。
こんなふうに死んだり、生きながらえたりしながら、アルスラーンが何を目指しているかというと「王権」である。そして、王権を得たあと、何をしようとしているかというと、奴隷制度をなくし、国の民全員に基本的人権を与えることだったりする。
歴史ファンタジーだけれど、とはいえ、実際に似たような歴史を辿って、いま私たちは、いる。私たちがいま、手にしている一票は、こういった先祖たちの血の上にある一票だったりするのだよなあ。
そんなことを考えながら、雪の中、選挙に行ってきた。
2月8日、日曜日、怒りの投票。
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