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2ndだけど実質1stだったよね。奇跡は起きた。NCT DREAM『THE DREAM SHOW2』

今回のライブタイトルは『THE DREAM SHOW2』

「2」ではあるのだけれど、個人的には実質1stライブだと思っている。だってこれはもはや壮大なドラマだと言えるから。

NCT DREAMは10代のみのメンバーで構成される韓国のボーイズアイドルグループで、2016年にデビューした。彼らが所属するSMエンターテイメントは先輩にBoAや東方神起などがいる、韓国内屈指の大手芸能事務所だ。

デビュー当時のメンバー平均年齢は15.6歳。20歳になったら卒業するというなんともエモエモなオタク心をくすぐるコンセプトが刺さりまくって、気づいたらすでに沼の中に首までどっぷり浸かっていた。推しは推せるときに推せってね。

卒業はすぐにやってきた。2018年、リーダーで最年長のマークが20歳になりグループを卒業した。よその子とゴーヤの成長ははやい、と誰かが言っていたが本当にその通りだ。あっと言う間に時は過ぎ去っていく。

マークの卒業を皮切りに、翌年にはさらに4人のメンバーが20歳を迎えることになる。このままNCT DREAMはなくなってしまうのか。エモいと思っていたコンセプトだって20歳で卒業って何やねん、なんでこんなわけのわからないコンセプトなわけ?と怒りさえわいてくる。なんて身勝手なオタクなんだ(笑)。

ファンもメンバーも絶望していた。未来が暗く光が見えない状態で開催されたのが前回のTHE DREAM SHOW。ファンもメンバー自身だってNCT DREAMのことが大好きだった。どうすることもできないのに諦められない、前回のTHE DREAM SHOWではみんなが泣いていた。

―でも、奇跡が起きた。

NCT DREAMは固定グループとして活動することが発表され、卒業したリーダー マークも復帰が決まった。晴れて7人のNCT DREAMとして活動を再開することになったのだ。

7DREAM、通称チルドリ(7を韓国語では「チル」と読むことから日本でもそう呼ばれている)がいよいよ日本で見られると思うと落ち着かなくて、公演前からドキドキしてお昼ご飯は喉を通らなかった。グッズやトイレに並ぶ長蛇の列さえも愛おしく感じる。

ついに公演始まった!本当に7人いる。何回数えても7人いるからそれだけでも感動して何度も泣きそうになった。というか泣いた、しかも号泣レベルで。

NCT DREAMのステージは一言で表すと「青春」。彼らがまだ20代前半で若いというのもあるかもしれないが、甘酸っぱくてどこかに置き忘れていたような気持ちを思い出す。なんだか部活終わりに通りがかった体育館でまだ練習してるバスケ部を眺めているような、なんか部活っぽさを感じる。

今、この瞬間があまりにも儚くて綺麗で、過ぎて去ってしまうのがもったいない。1秒たりとも見逃したくない、そんなステージなのだ。だから、楽しんでいても心のどこかで終わらないで!と胸がギュっとなる。

アリーナの舞台が狭く感じる程に歌って踊る7人は、全員素敵すぎて目が足りない。もはやどこを見たら良いのかわからないパニックだ。見逃したくないのにどこを見たら良いのかわからないなんて本末転倒すぎるのだけど、目は8個欲しい、7人のメンバーごとに見たいし全体でも見たいから。

ライブに参戦すると、それまでなんとなく聴いていた曲が急にお気に入りランキングにランクインしてくることが往々にしてある。ライブに行ったからこそ気づく良曲に出会えるのもライブ参戦の醍醐味だと思っている。

今回は間違いなく「Hello Future」だった。Hello Futureはタイトル通り、きっとうまくいくよと明るい未来を歌っている歌なのだが、どうやっても今の状況とリンクしてしまう。もう2度と7人でNCT DREAMとして歌うことはないのかもしれないと絶望したこと、コロナ禍になりいつライブがあるのかわからくてつらかったこと、いろんなことがありすぎた。でも「心配しないで上手くいくよ」歌って踊るメンバーの楽しそうな姿がハッピーなメロディーが、そして「これから先」が見えていることが、ギュッとなる私の心を溶かしていってくれているようだった。不思議だ、純粋に楽しい!という気持ちしかなくなった。

今だってHello Futureを聞くとライブのときの感情がブワーっと身体中にめぐって鳥肌が立つし気を抜いたら泣きそうだ。でもなぜだろう、泣いちゃいそうだけどすごく幸せな気持ちだ。

それなりにオタク歴も長くなったので、全てのことが永遠でないことだってちゃんとわかっている。今が永遠に続けばいいのにって願ったってそう上手くはいかないことも頭では理解している。いろんなグループを推してきたけれど、正直なところ傷だらけだ(笑) それでも一瞬の楽しかった記憶たちが優しく包み込んでくれる。だから結局、オタクは楽しい。プラマイプラスだ。

ある曲の途中で会場の壁に「NCT DREAM☆7DREAM」とレーザーで映し出されていた。それをメンバーのジェノとリーダーマークが嬉しそうに眺めている姿が忘れられない。メンバーだって待ってたし、嬉しいんだよね。推しの幸せが私の幸せ。

メンバーたちは「僕たちはこれからがスタートです」と口々に言う。そうだ、これからまだまだ活動は続いていく。来年早々に京セラドームで3日間の追加公演が決まったばかりだ。

夢を諦めなかったから奇跡が起きた。まさにDREAM。心配しなくても上手くいく、また会えるという安心感が私の心のギュッとなった気持ちはいつの間にかほぐれてなくなっていた。NCT DREAM と共にこれからも夢を見続けていくのだろう。

文/北原舞

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