
アンケート、たった1行【さとゆみの今日もコレカラ/第 90 回】
ハラスメントやジェンダーバランスについての研究調査をしている方が、こんなことを言っていた。
「たとえばあなたがトークイベントに参加したとき、アンケートに『登壇者のジェンダーバランスが悪かった』と1行書くだけで、世界は確実に変わります」
久しぶりに、ハッとした言葉だった。たしかにこれは、最も効果的な投票のひとつだと思ったからだ。
組閣人事を見て日本の政治家は男だらけだなと思うことはある。しかし選挙で1票投じたところで何が変わるのだろうかという無力感もある。
だけど、イベントでアンケートに1行書くことは、同じ1票でもたしかに世界を動かしうる。
私はイベントも企画するし登壇もするから、運営側がどれほど参加者のアンケートを重視しているかを知っている。
定員 100 人のイベントでも 1000 人のイベントでも、たった1枚「登壇者のジェンダーバランスが悪くてがっかりした」というアンケートがあったら、運営サイドは次年度のキャスティングで必ずその声を考慮する。
アンケートは登壇者にも共有されることが多い。自分が登壇したイベントで「ジェンダーバランスが……」という言葉を数回見かけたら、そういう時代なのだと登壇者も認識する。
登壇者には影響力が強い人が多い。その人たちが自分の持ち場に戻ったとき、頭の片隅にそのアンケートの一行があるだけで、組織や企業の経営方針が変わる可能性もある。
こんなに重みのある一行があるだろうか。
どんなに無力感をおぼえても、私はこの先も選挙にいくと思う。でも、これからはアンケートを書くという行為ひとつでも、投票を重ねていこうと思った。
もちろんこれは、ジェンダーバランスの話だけではない。アンケートだけの話でもない。
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