
息子のローストビーフ丼【さとゆみの今日もコレカラ/第 124 回】
小学6年生の息子がいる。いわゆるデジタルネイティブだ。物を買う時、店を選ぶ時は、Google や Amazon のレビューをチェックする。
サクラもいるし、ライバル店を蹴落とすレビューもあるから、あまり鵜呑みにしないほうがいいよというと、もちろんわかってる、という。信用できそうなレビューとそうじゃないレビューは、なんとなくわかるらしい。
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昨夜、息子に頼まれて、出張先から Uber eats を注文した。いつものローストビーフ丼がいいという。注文して1時間ほど経った時、私の LINE がぴろりと鳴った。「卵が割れてなかった。評価上げといて」とだけ書かれている。 ローストビーフ丼は、中央に卵黄がのっているのだが、この卵はいつも割れた状態で届く。「運んでいるうちに割れるのは仕方ないけれど、ちょっと残念な気持ちになるよね」と息子が言っていたのを思い出す。その卵が、今日初めて完璧な状態で配達されてきたのだと思う。
そのささやかな感動を、配達してくれた人に伝えたいと思うその気持ちに、きゅんとする。すべてのレビューが、こういう純な気持ちの集合体であったらいいのになと思う。
いや、ひょっとしたら違うのかな。彼らデジタルネイティブたちは、そうやってほんとうに」思った時だけ、誠実に評価すると決めているのかもしれない。私たちがレストランでシェフに「今日はとてもおいしかったです」と伝えるように。
自分が信頼できる世界をつくりたいなら、まずは自分が信頼できる情報を発信する。「レビューを鵜呑みにしないほうがいいよ」と話す私よりも、よっぽど建設的な関わり方だと思う。
Uber eats のアプリを開き、コメントを送る。
「いつも卵が割れているのですが、今日はじめて割れずに届きました。うれしかったです」と書いて、★5つで送信した。ちょっと考えて、チップを上乗せする。配達してくれた人の写真を見ると、プロレスラーのような屈強な雰囲気の人だった。息子はこの人から、ローストビーフ丼を受け取ったのかと想像する。ふふふ。
毎日ちょっとずつ、世界が優しくなっていきますように。
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