
学校は楽しいですか?【さとゆみの今日もコレカラ/第 168 回】
インタビュー取材をする時は、なるべく「気持ち」を聞かないようにしている。
・資金繰りが厳しくなった時、どんな気持ちでしたか? →絶望的な気持ちでした。
・受賞の知らせを受けた時、どんな気持ちでしたか? →天にも昇るような気持ちでした。
これでは、何も聞けていないのとほとんど同じである。まあ、それはそうでしょうよ、という感じ。では、気持ちを聞く代わりに何をするかというと、その時の様子を詳しく聞く。
・受賞の知らせを受け取ったのは、朝でした? 夜でしたか?
・そのときあなたは、どこにいましたか?
・その日は暑かった? 寒かった? どんな服を着ていたか覚えていますか?
・その知らせに対してあなたは何と答えましたか?
・最初にその知らせを伝えたのは誰でしたか?
・その人は何と言っていましたか?
こんな感じで、そのときの様子を再現 VTR がとれるくらい詳しく聞いていく。気持ちを聞いていた時には見えなかったディテールがそこに広がる。そして “結果的に” その人はその時の気持ちをありありと思い出してくれる。(なーんて偉そうに書いているけれど、すべて某編集長から習ったことだ)
*
話は変わる。が、つながっている。
先日、私が日本の宝だと思っている年下の凄腕ライターさんと話をしたとき、子どもの話題になった。我が家は中学校、彼女のお子さんは小学校に入学したばかりだ。それぞれの子どもたちが学校生活に馴染んでいるかといった話になった時、彼女が面白いことを言い始めた。
子どもに、「今日は学校、楽しかった?」と聞くのをやめた、というのだ。
「どうして?」
「楽しいかどうかって、気分ですよね。一日のうちに、楽しいことがあったかどうかを思い出して答えるのは、難しいみたいなんです」
「ああ、なるほど。気持ちを思い出すのって難しいよね」
「そうそう。今日楽しかったか? という質問は、私たち大人に今月の人生は楽しかったかと聞いているようなものだなあと思って」
「うん、答えようがない」
「楽しかったって聞いて安心したい、自分のための質問だよなあって」
「たしかに」
なんて感じの会話をした(多分。この頃にはだいぶ酔っ払っていた)。
そういえば、息子が小学生の時、私はよく「今日は楽しかった?」と質問していた。彼はくるっと目を動かしてしばらく思い出すような仕草をした後、たいていの場合「まあ、普通」と答えていた。普通と言われるとなんだかがっかりするのだが、それ以外に答えようがない質問だったんだろうな。
さて、「楽しかった?」と聞く代わりに彼女が今どうしているかというと、「今日、学校でどんなことがあったの?」と聞くようになったそうだ。それでもやはり答えられないときも多いそうで、実際には、「どんな授業があったか」「学童の大部屋では何をしたか」と、より具体的に聞いてるのだとか。
なるほど、それだと答えやすいよねえ。インタビューと同じだ。ああ、インタビューも同じですねえなんて話してまたワインを空けた。
文章を書く人たちとこういう話をするのが、本当に好き。
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いつか楽屋口でもいいから聴いてもらおうと思って練習していた、マルコーニさんが編曲をしたバンドネオンソロの古い曲を、ここぞとばかりに演奏しました。小学生の頃からいろんなステージで弾いてきて、緊張なんてしたことなかったのに、その時ばかりは足がガクガク震えて、弾けたもんじゃな い。バンドネオンって蛇腹がついてるので、震えるとこう、ガチャガチャと音
がするんですよ。緊張で脚がずーっとガクガクして蛇腹が鳴っていたのを覚えています。本当に怖かった。


